2022年08月01日

ユーロ圏消費者物価(22年7月)-総合指数は8.9%、コア部分も4.0%まで上昇

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:9%近い伸び率を記録

7月29日、欧州委員会統計局(Eurostat)は7月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【総合指数】
前年同月比は8.9%、市場予想1(8.7%)を上回り、前月(8.6%)から加速(図表1)
前月比は0.1%、予想(▲0.1%)を上回ったが、前月(0.8%)からは減速

【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2
前年同月比は4.0%、予想(3.9%)を上回り、前月(3.7%)から加速(図表2)
前月比は▲0.2%、前月(0.2%)からマイナスに転じた

(図表1)ユーロ圏のHICP上昇率/(図表2)ユーロ圏のHICP上昇率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。

2.結果の詳細:コア部分も4%台まで上昇

22年7月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で8.9%となり、6月の8.6%からさらに加速し、統計データ公表以来の最も高い伸び率を更新した。また「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」も4.0%となり、6月(3.7%)を上回った。これまで最も高かった5月の伸び率(3.8%)も超え、物価上昇の裾野が広く、また上昇圧力も強いことがうかがえる。

以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。

まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が5月4.2%→6月4.3%→7月4.5%、「サービス」(エネルギーを除く)が5月3.5%→6月3.4%→7月3.7%となり、いずれも加速した(前掲図表2)。

品目別には5月までのデータとなるが、娯楽業が4月3.6%→5月3.6%→6月4.4%、外食・宿泊業が4月5.9%→5月7.1%→6月7.9%と高い伸び率が続いている。また、エネルギー価格高騰の影響を受けて、光熱費(4月15.9%→5月16.3%→6月16.9%)や輸送(4月13.0%→5月14.0%→6月14.4%)が2桁の伸び率が続いている。家具も4月5.0%→5月5.9%→6月6.5%と加速が続いており、物価上昇圧力の裾野は広い。

コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で5月39.2%→6月41.9%→7月39.7%となった。7月は前月比で0.4%(6月は3.4%)となり、エネルギー価格の水準もじわじわと上昇している(図表3)。なお、前年同期比の寄与度では3.94%ポイント程度(6月は4.19%ポイント)と見られる(前掲図表1)。
(図表3)ユーロ圏のエネルギー価格水準/(図表4)ユーロ圏の飲食料価格の上昇率と内訳
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で9.8%(6月8.9%)となった。飲食料のうち加工食品の伸び率は9.4%(6月8.2%)、未加工食品は11.0%(6月11.2%)であり、いずれも高い伸び率と言える(図表4)。飲食料の前年同期比寄与度は2.20%ポイント程度(6月は1.88%ポイント)と見られる。
(図表5)ユーロ圏HICP上昇率(前年同月比)/(図表6)ユーロ圏HICP上昇率(前月比)
国別のHICP上昇率では、6月は前年同月比で19か国中13か国が加速、6か国が減速した(図表5)。総じて伸び率は高く、過半の10か国が2桁の伸び率を記録し、バルト三国の3か国は20%を超えている。また、前月比では19か国中14か国がプラスの伸び率だった(図表6)。
 
 

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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2022年08月01日「経済・金融フラッシュ」)

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