2022年08月01日

ユーロ圏GDP(2022年4-6月期)-コロナ禍から回復で成長率は大幅加速

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:成長率は大幅加速

7月29日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏GDPの一次速報値(Preliminary Flash Estimate)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国GDP(2022年4-6月期、季節調整値)】
前期比は0.7%、市場予想1(0.2%)を上回り、前期(0.5%)から加速した(図表1)
前年同期比は4.0%、市場予想(3.4%)を上回り、前期(5.4%)から加速した(図表2)

(図表1)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表1)ユーロ圏の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様

2.結果の詳細:ドイツは横ばい圏だが、フランス・イタリア・スペインが成長をけん引

2022年4-6月期の成長率は前期比0.7%(年率換算2.8%)だった。5四半期連続でのプラス成長となり、伸び率は21年10-12月期(前期比0.4%、年率換算1.6%)、22年1-3月期(前期比0.5%、年率換算2.0%)からも加速している。実質GDPの水準はコロナ禍前(19年10-12月期)と比較して+1.5%まで回復している。ユーロ圏では昨年後半から物価上昇が顕著であり、経済への下押し圧力は強まっているが、コロナ禍で抑制されていた対面サービス関連産業の回復が進んだことで成長率は大幅に加速したと見られる。

経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ▲0.0%(前期0.8%)、フランス0.5%(前期▲0.2%)、イタリア1.0%(前期0.1%)、スペイン1.1%(前期0.2%)となった。ドイツの伸び率はほぼ横ばいだが、フランス、イタリア、スペインの伸びが高くユーロ圏全体の回復をけん引した。実質GDPの水準では、大国4か国のうち、フランスとイタリアがコロナ禍前を超える一方、ドイツとスペインはコロナ禍前の水準を下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏主要国の4-6月期GDP伸び率/(図表4)日米欧主要国のGDP水準(コロナ禍前との比較)
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で見ていきたい。

フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲0.2%(前期▲1.3%)、政府消費▲0.1%(前期0.0%)、投資0.5%(前期0.5%)、輸出0.8%(前期1.6%)、輸入▲0.6%(前期1.2%)となった。在庫変動は前期比寄与度0.1%ポイント、純輸出が前期比寄与度0.4%ポイントであり、4-6月期は純輸出が全体の成長率を押し上げる形となった。

産業別の付加価値を見ると、工業が▲0.3%(前期▲0.2%)、建設業が▲0.9%(前期0.3%)、市場型サービス産業1.2%(前期▲0.2%)、非市場型サービス▲0.2%(前期▲0.0%)だった。より細かい業種で見ると、対面サービス産業の代表である居住・飲食サービス(6.5%)が大きく回復する一方、電気・ガス・水道業(▲2.6%)の落ち込みが目立っている(図表5)。
(図表5)フランスの産業別GDP成長率(22年4-6月期)/(図表6)スペインの産業別GDP成長率(22年4-6月期)
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費3.2%(前期▲2.0%)、政府消費▲0.5%(前期0.1%)、投資2.8%(前期3.4%)、輸出1.6%(前期1.1%)、輸入4.6%(前期▲0.8%)となった。スペインでは個人消費の回復が目立つが、コロナ禍前比で見ると▲5.3%であり、依然としてやや低い水準と言える。産業別には、工業が0.8%(前期▲1.8%)、建設業が前期比0.3%(前期▲0.1%)、サービス業が前期比0.9%(前期0.5%)となっている。サービス業では、芸術・娯楽業が11.6%(前期1.3%)と大きく回復した(図表6)。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

(2022年08月01日「経済・金融フラッシュ」)

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