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1―数字の「17」のイメージは
「17」という数字は、1とそれ自身以外に約数を持たない「素数」である。
その前後の「16(=24)」や「18(2,3,6,9という約数を有する)」に比べて、何となくとっつきにくいイメージがあると思われる。有名なピタゴラスやピタゴラス教団は、4×4(=16)の四辺形と3×6(=18)の四辺形の間に挟まれた位置にある「17」という数字を嫌っていたとの説もある。
2―17頭のラクダの分配
あるところで、ラクダを17頭所有していた人が亡くなった。その人には3人の男の子どもがいた。遺言によれば、そのラクダの分配について「長男に2分の1、次男に3分の1、三男に9分の1を分配せよ」となっていた。ところが、17は2でも3でも9でも割り切れない。兄弟が困り果てていると、一人の通りがかりの旅人が、「自分の1頭のラクダを貸してあげるから、これで18頭になる。18なら2でも3でも9でも割り切れるだろう。」ということになった。これにより、長男は9頭、次男は6頭、三男は2頭を配分されることになり、3人に配分されるラクダの総数は17頭になった。残りの1頭は旅人がそのまま持ち帰っていった。めでたしめでたし。
これはまさに、旅人の知恵に感心させられるエピソードであるとともに、ある意味で「17」という数字の特性を表しているものとなっている。
3―17年ゼミ(周期ゼミ、素数ゼミ)
なぜ「17年あるいは13年」なのかということについては、捕食者や寄生虫の周期と同期して発生する可能性を回避するためであると言われている。素数であれば、他の周期を有するものと重なる機会は限定されることになる。素数ゼミ以外のセミの周期が4年から5年と言われている中で、これらのセミとの競合関係も回避でき、個体の生存に有利な状況を作り出している形になっているようだ。
4―正十七角形は定規とコンパスで作図できる
正十七角形が作図可能であることは、ドイツの偉大な数学者カール・フリードリヒ・ガウスによって証明されている。
5―イタリアでは「17」は忌み数
このため、イタリアでは「17」が付く部屋番号や階数が避けられ、またイタリアの航空会社には「17列」の客席が存在しないこともある、と言われている。イタリアでは、「13日の金曜日」ならぬ「17日の金曜日」が特に不幸な日であると考えられている、とのことである。
「17という数字に対する恐怖」をイタリア語でEptacaidecafobia( 英語でHeptadecaphobia、日本語でヘプタデカフォビア)と呼んでいる。
6―最後に
皆さんも、何気ない数字に関心を抱いて、知的探求を進めていただければと感じた次第である。
中村 亮一
研究・専門分野
(2022年07月07日「基礎研マンスリー」)
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