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生物多様性とは-生物多様性を巡る動向及び持続可能な開発目標(SDGs)との関係

金融研究部 企業年金調査室長 年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・サステナビリティ投資推進室兼任 梅内 俊樹
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1――生物多様性の課題
2――生物多様性条約
3――国内における主な取組
<2030年ミッション達成に向けたの5つの基本戦略>
(1) 生態系の健全性の回復(日本の陸域及び海域のそれぞれ30%を保全)
(2) 自然を活用した社会課題の解決
(3) 事業活動への生物多様性・自然資本の統合
(4) 生活・消費活動における生物多様性との再統合(一人ひとりの行動変容)
(5) 生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進
産官民の連携・協力を促す取組としては、昨年11月に設立された「2030生物多様性枠組実現日本会議」が挙げられる。国際目標「ポスト2020生物多様性枠組」や国内目標「次期生物多様性国家戦略」の達成への貢献を目指して、国や地方公共団体だけでなく、ビジネス界や国民などあらゆるセクターの参画と連携を促進し、生物多様性の保全や持続可能な利用に向けた取組が推進されている。
こうした取組からも理解されるように、生物多様性の課題はその性質上、官民問わず広く対応が求められる。こうした中、国内企業においても生物多様性への取組に広がりが見られている。環境省と経団連が2020年11月に立ち上げた「生物多様性ビジネス貢献プロジェクト」では、動画やプラットフォームを通じて、国際目標「ポスト2020生物多様性枠組」の目標達成に寄与する国内企業の取組事例が紹介されている。その一部を掲載したのが図表1である。こうした取組の広がりにより、生物多様性の保全が進むことが期待される。
4――持続可能な開発目標(SDGs)と生物多様性
「ゴール14:海の豊かさを守ろう」や「ゴール15:陸の豊かさを守ろう」は、ターゲットのなかで“海洋資源の保全”や“陸域生態系の保護”、“持続可能な利用”が目標として設定されており、特に、「ゴール15」では、“生物多様性の損失の阻止”が目標に明記に示されている。この2つは2010年に採択された愛知目標を踏まえて設定された目標とされ、生物多様性にかかわる目標と完全に方向性が一致している。
「ゴール2:飢餓をゼロに」の“食料安全保障の実現”や“持続可能な農業の促進”といったターゲットや、「ゴール6:安全な水とトイレを世界中に」の“水へのアクセス”に関するターゲットは、その目標達成が生態系サービスに依存するため、生物多様性の保全が重要な要素となる。逆に、「ゴール6:安全な水とトイレを世界中に」や「ゴール12:つくる責任つかう責任」の“汚染・廃棄物の削減”や“持続可能な利用”にかかわるターゲットは、生物多様性や生態系の保全において解消すべき重要な課題であり、その実現は生物多様性の保全に大きく貢献することが見込まれる。
また、「ゴール13:気候変動に具体的な対策を」については、“気候変動への適応”において、生態系の洪水や暴風を緩和する機能が重要な役割を担うことが見込まれ、“気候変動の緩和”に関しては、森林による二酸化炭素の吸収がその実現において重要な役割を期待される一方で、“気候変動の緩和”は生物多様性や生態系の損失低減に貢献するなど、互いに依存する関係にある。なお、“気候変動”に関しては、正の影響だけでなく負の影響も指摘されている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年06月30日「基礎研レター」)

03-3512-1849
- 【職歴】
1988年 日本生命保険相互会社入社
1995年 ニッセイアセットマネジメント(旧ニッセイ投信)出向
2005年 一橋大学国際企業戦略研究科修了
2009年 ニッセイ基礎研究所
2011年 年金総合リサーチセンター 兼務
2013年7月より現職
2018年 ジェロントロジー推進室 兼務
2021年 ESG推進室 兼務
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