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ASEANの貿易統計(5月号)~輸出は商品市況の高騰により好調続くも、今後は中国都市封鎖の影響により鈍化へ
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、3月は東アジア向けが同16.0%増、東南アジア向けが同25.4%増、北米向けが同21.2%増、EU向けが同14.3%増となり、それぞれ大幅な伸びが続いた(図表2)。
輸出を品目別に見ると、輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比42.4%増(前月:同4.4%増)と急伸したほか、電気製品・同部品が同11.9%増(前月:同13.7%増)と好調に推移した(図表4)。アパレル関連では、履物が同17.0%増(前月:同10.5%増)、織物・衣類が同11.9%増(前月:同12.5%増)と、それぞれ二桁増が続いた。農林水産物を見ると、水産物(同38.7%増)やコーヒー(同52.0%増)、天然ゴム(同3.1%増)が増加する一方、野菜(同14.4%減)、コメ(同9.1%減)、カシューナッツ(同9.7%減)が減少するなど、品目毎にばらつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同17.8%増(前月:同13.3%増)、地場企業が同15.0%増(前月:同24.7%増)となり、それぞれ二桁増となった。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同18.5%増(前月:同25.9%増)と伸びが鈍化したものの、13カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、電子機器(同38.8%増)や家電製品(同11.3%増)が堅調な拡大が続いており、機械・装置(同14.3%増)や石油化学製品(同20.2%増)などの主要輸出品も増加した。一方で半導体不足の影響で生産に悪影響が及んでいる自動車・部品(同0.9%増)は鈍化した。このほか、鉱業・燃料は同32.9%増(前月:同35.0%増)と好調を維持、石油製品(同30.7%増)を中心に大幅な増加が続いた。農産物・同加工品は同14.2%増(前月:同18.1%増)と大幅な伸びが続いた。ゴム製品(同23.3%減)やドリアン(同0.1%減)は減少したものの、コメ(同65.6%増)や加工食品(同37.2%増)、園芸産物(同18.1%増)が二桁増となるなど、総じて増加した品目が多かった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同26.7%増(前月:同19.9%増)となり、主力の電気・電子製品(同29.9%増)を中心に8カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同99.7%増(前月:同17.7%増)と大きく増加した。石油製品(同101.8%増)と天然ガス(同96.2%増)、原油(同88.4%増)がそれぞれ急伸した。このほか、化学製品(同14.5%増)、動植物性油脂(同49.9%増)の二桁増が続いた一方、ゴム手袋(同69.3%減)は昨年好調だった反動で減少が続いている。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同43.8%増(前月:同35.3%増)、石油ガス輸出が同54.8%増(前月:同15.6%増)とそれぞれ好調だった(図表10)。品目別にみると、国際商品市況の高騰により鉱産物(同101.3%増)や天然又は養殖真珠、貴石、半貴石(同144.5%増)が大幅に増加したほか、鉄・鉄鋼(同81.8%増)や電気機械(同20.4%増)、自動車・同部品(同17.7%増)、機械類(同8.4%増)、化学製品(同46.5%増)、動植物性油脂(同6.5%増)も好調だった。一方、ゴム製品(同8.1%減)は減少した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同10.1%増(前月:同10.0%増)と、16カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、ディスクメディア(同0.1%減)が減少したものの、主力のIC(同19.6%増)が好調だったほか、PC(同10.6%増)と通信機器(同6.0%増)が増加に転じた。一方、全体の約3割を占める化学品は同3.1%増(前月:同16.3%増)と伸びが鈍化した。化学品の内訳を見ると、医薬品(同16.5%増)は大幅な伸びが続いたものの、石油化学製品(同3.1%減)が減少した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同8.1%増(前月:同15.1%増)となり、伸びが鈍化した(図表14)。電気製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同9.2%増)が堅調を維持したものの、電子データ処理機(同0.5%減)が4ヵ月連続で減少した。その他9品目については、ココナッツオイル(同63.9%増)、金(同40.0%増)、その他鉱業品(同19.7%増)がそれぞれ増加した一方、機械・輸送用機器(同33.9%減)と金属部品(同21.6%減)、化学品(同8.0%減)、イグニッションワイヤーセット(同5.8%減)、その他製造品(同4.5%減)、製錬銅(同0.9%減)が減少した。
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03-3512-1780
(2022年05月10日「経済・金融フラッシュ」)
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