2022年05月09日

インドネシア経済:22年1-3月期の成長率は前年同期比+5.01%~4期連続のプラス成長、内外需ともに堅調に拡大

経済研究部 准主任研究員   斉藤 誠

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インドネシアの2022年1-3月期の実質GDP成長率1は前年同期比(原系列)5.01%増(前期:同5.02%増)と横ばいで推移し、市場予想2(同+4.95%)を小幅に上回る結果となった。

1-3月期の実質GDPを需要項目別に見ると、内外需の拡大が成長の牽引役となった(図表1)。

民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比4.38%増(前期:同3.55%増)と伸びが加速した。費目別に見ると、輸送・通信(同7.04%増)が好調だったほか、ホテル・レストラン(同4.20%増)、食料・飲料(同3.58%増)、住宅設備(同3.21%増)、保健・教育(同2.15%増)が順調に拡大した。

政府消費は前年同期比7.74%減(前期:同5.25%増)となり、7四半期ぶりに減少した。
総固定資本形成は前年同期比4.09%増(前期:同4.49%増)と低下したが、底堅い伸びを保った。機械・設備(同19.17%増)が4四半期連続の二桁増となったが、建設投資(同2.58%増)と自動車(同0.27%増)が緩やかな伸びに止まった。

純輸出は成長率寄与度が+0.82%ポイントとなり、前期の+1.02%ポイントから小幅に縮小した。まず財・サービス輸出は前年同期比16.22%増(前期:同29.83%増)と伸びが鈍化したものの、二桁成長を維持した。輸出の内訳を見ると、財輸出(同16.69%増)とサービス輸出(同6.53%増)がそれぞれ順調に拡大した。また財・サービス輸入も同15.03%増(前期:同29.60%増)と大幅な増加が続いた。
(図表1)インドネシア実質GDP成長率(需要側)/(図表2)インドネシア 実質GDP成長率(供給側)
供給項目別に見ると、主に第三次産業と第二次産業の拡大が成長の牽引役となった(図表2)。

第三次産業は前年同期比5.30%増(前期:同4.11%増)となり、伸びが加速した。内訳を見ると、構成割合の大きい卸売・小売(同5.71%増)をはじめとして保健衛生・社会事業(同12.16%増)や運輸・倉庫(同15.79%増)、情報・通信(同7.14%増)、ホテル・レストラン(同6.56%増)が堅調な伸びを続けたほか、ビジネスサービス(同5.96%増)と金融・不動産(同1.64%増)が復した。一方、行政・国防(同1.45%減)と教育サービス(同1.70%減)は減少した。

第二次産業は前年同期比4.82%増(前期:同4.78%増)と伸びが小幅に加速した。内訳を見ると、鉱業(同3.82%増)が鈍化したものの、構成割合の大きい製造業(同5.07%増)と建設業(同4.83%増)、電気・ガス・水供給業(同6.58%増)が堅調に拡大した。

第一次産業は前年同期比1.16%増(前期:同2.28%増)と低下した。
 
1 2022年5月9日、インドネシア統計局(BPS)が2022年1-3月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査

1-3月期GDPの評価と先行きのポイント

インドネシア経済は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に2020年に経済が停滞して、実質GDP成長率が前年比▲2.07%と減少したが、昨年4-6月期以降は前年同期の落ち込みからの反動増(ベース効果)や経済活動の再開によってプラス成長が続き、21年の成長率が前年比+3.69%と上昇した。そして、今回発表された22年1-3月期の成長率は前年同期比5.01%増となり、前期(同5.02%増)に続いて堅調な伸びを維持した。

1-3月期は新型コロナウイルスの感染が拡大したものの、消費と投資、輸出の順調な回復が経済を支えた。インドネシアでは今年初にオミクロン株到来による第3波が生じ、2月には新規感染者数が一時5万人台を突破した(図表3)。政府は1月と2月に首都圏の活動制限(PPKM)のリスク区分を1段階ずつ引き上げ、上から2番目に高い「レベル3」に引き上げられた。しかし、ワクチン接種の拡大や治療薬の調達など従来の感染対策が徹底され、3月に感染状況が急速に回復すると、首都圏の活動制限のリスク区分は1段階引き下げられることとなった。従って、1-3月期はオミクロン株の感染拡大がインドネシア経済の打撃となる恐れがあったが、オミクロン株の症状の大半は軽症か無症状であり、政府が経済活性化を重視して厳格な制限措置に踏み切らなかったため、1-3月の人流はほとんど減少しなかった(図表4)。また比較対象となる昨年1-3月期は新型コロナの感染拡大と活動制限により経済が停滞した時期であり、ベース効果が働いたことも成長率の維持に繋がったとみられる。こうして、民間消費は前年同期比4.38%増、総固定資本形成は前年同期比4.09%増と順調に回復した。

また1-3月期の輸出は引き続き好調だった。インドネシア政府は石炭の国内供給を確保するため、1月に一時的に禁輸して輸出が落ち込んだが、ロシアのウクライナ侵攻後に一次産品の世界的な需要が高まるなかで3月の輸出が急増した結果、財輸出(同16.69%増)は二桁成長を維持した。

インドネシアの足元の新規感染者数は1日100人台まで減少しており、感染状況は大きく改善している。今後もブースター接種の普及など感染対策の整備により、当面は活動制限の緩和が進むものとみられる。こうして企業・消費者マインドの改善や雇用情勢の改善を通じて内需の回復が続くだろう。しかし、4月の消費者物価上昇率は+3.5%台程度まで上昇するなど今後はインフレの加速が消費者の購買力に悪影響を及ぼす恐れがある。また中国経済の減速や世界的な金融引き締めなど逆風が吹き始めている。こうした不確実要素がインドネシアのコロナ禍からの経済回復を妨げるリスクに注意する必要がありそうだ。
(図表3)インドネシアの新規感染者数の推移/(図表4)インドネシアの外出状況
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

(2022年05月09日「経済・金融フラッシュ」)

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