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ASEANの貿易統計(4月号)~輸出は原材料高騰により二桁成長が続くも、今後は露ウクライナ情勢や中国都市封鎖により伸び悩む恐れ
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、2月は東アジア向けが同15.2%増、東南アジア向けが同20.2%増、北米向けが同14.7%増、EU向けが同23.9%増となり、それぞれ大幅な伸びが続いた。
輸出を品目別に見ると、輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比4.4%増(前月:同26.2%減)と増加に転じたほか、電気製品・同部品が同13.9%増(前月:同5.6%増)と伸びが加速した(図表4)。アパレル関連では、履物が同11.2%増(前月:同3.7%増)、織物・衣類が同13.0%増(前月:同34.2%増)と、それぞれ二桁増となった。農林水産物を見ると、水産物(同62.5%増)やコーヒー(同48.8%増)、コメ(同33.2%増)、カシューナッツ(同18.2%増)、天然ゴム(同5.0%増)など増加した品目が多かった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同13.3%増(前月:同2.4%増)と2ヵ月ぶりに二桁増まで加速、地場企業が同24.7%増(前月:同25.5%増)と大幅な伸びが続いた。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同25.9%増(前月:同19.9%増)と伸びが加速して12カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、在宅時間が増加した影響で電子機器(同26.4%増)や家電製品(同25.8%増)が堅調に拡大、また機械・装置(同19.0%増)や石油化学製品(同32.5%増)といった主要輸出品も引き続き増加したほか、半導体不足の影響で前月に下振れた自動車・部品(同12.8%増)が2ヵ月ぶりの増加に転じた。また鉱業・燃料も同35.0%増(前月:同27.8%増)と伸びが加速、石油製品(同38.0%増)を中心に大幅な増加が続いた。このほか、農産物・同加工品は同18.1%増(前月:同20.4%増)と大幅な伸びが続いている。ドリアン(同92.9%減)やゴム製品(同20.8%減)が減少したものの、コメ(同29.9%増)や天然ゴム(同15.8%増)、加工食品(同48.6%増)が二桁増となるなど、総じて増加した品目が多かった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同19.8%増(前月:同17.3%増)となり、主力の電気・電子製品(同21.6%増)を中心に7カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同17.4%増(前月:同35.9%増)と好調だった。石油製品(同4.5%増)と天然ガス(同40.8%増)、原油(同14.4%増)がそれぞれ増加した。このほか、化学製品(同31.4%増)、動植物性油脂(同17.4%増)の二桁増が続いた一方、ゴム手袋(同69.1%減)は昨年好調だった反動で減少が続いている。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同35.2%増(前月:同26.8%増)、石油ガス輸出が同15.6%増(前月:同2.0%増)と好調だった(図表10)。品目別にみると、今年1月に石炭の輸出禁止の影響を受けて落ち込んだ鉱産物(同53.4%増)をはじめとして、鉄・鉄鋼(同50.9%増)や電気機械(同27.9%増)、機械類(同15.6%増)、動植物性油脂(同40.6%増)が大幅に増加したほか、天然又は養殖真珠、貴石、半貴石(同126.7%増)が急伸した。一方、自動車・同部品(同6.1%減)とゴム製品(同15.3%減)は減少に転じた。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同10.0%増(前月:同11.0%増)と伸びが小幅に鈍化したが、15カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同19.9%増)とディスクメディア(同37.8%増)が好調だったものの、PC(同9.7%減)と通信機器(同33.2%減)が急減した。一方、全体の約3割を占める化学品は同16.4%増(前月:同8.4%増)と伸びが加速した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同17.8%増)が鈍化したが、医薬品(同37.6%増)が増加に転じた。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同15.1%増(前月:同9.0%増)となり、伸びが加速した(図表14)。電気製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同20.4%増)が好調だったものの、電子データ処理機(同5.3%減)が3ヵ月連続で減少した。その他9品目については、製錬銅(同130.2%増)やココナッツオイル(同118.2%増)、生鮮バナナ(同27.5%増)、電子装置・部品(同17.2%増)、化学品(同14.2%増)、その他製造品(同12.2%増)、イグニッションワイヤーセット(同6.4%増)がそれぞれ増加した一方、機械・輸送用機器(同22.0%減)と金属部品(同6.0%減)が減少した。
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(2022年04月08日「経済・金融フラッシュ」)
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