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- 英国金融政策(5月MPC)-4会合連続の利上げを決定、成長率見通しは大幅下方修正
2022年05月06日
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4.議事要旨の概要
記者会見の冒頭説明原稿および議事要旨の概要(上記金融政策の方針で触れられていない部分)において注目した内容(趣旨)は以下の通り2。
2 適宜、報告書の内容も記載。
2 適宜、報告書の内容も記載。
(経済見通し)
(需要と生産)
(供給、費用、価格)
(当面の政策決定)
(運用上の考慮事項)
- GDP成長率見通しは、2022年3.75%、23年▲0.25%、24年0.25%
(2月時点では22年3.75%、23年1.25%、24年1%)- 失業率は、2022年3.5%、23年4.25%、24年5%(10-12月期)
(2月時点では、22年4%、23年4.5%、24年5%) - CPI上昇率は、2022年10.25%、23年3.5%、24年1.5%(10-12月期の前年比)
(2月時点では、22年5.75%、23年2.5%、24年1.75%)
- 失業率は、2022年3.5%、23年4.25%、24年5%(10-12月期)
- 政策金利を1%で固定する代替シナリオ
- 成長率見通しは23年1.1%、24年0.7%、25年0.6%(4-6月期前年比)
(中央見通しでは、23年0%、24年0.2%、25年0.7%) - CPI上昇率は、23年7.2%、24年2.9%、25年2.2%(4-6月期前年比)
(中央見通しでは、23年6.6%、24年2.1%、25年1.3%)
- 成長率見通しは23年1.1%、24年0.7%、25年0.6%(4-6月期前年比)
- エネルギー価格が先物曲線に従う代替シナリオ
- 成長率見通しは、23年0.3%、24年0.6%、25年0.9%(4-6月期前年比)
(中央見通しでは23年0%、24年0.2%、25年0.7%) - CPI上昇率は、23年6.0%、24年1.4%、25年0.7%(4-6月期前年比)
(中央見通し、23年6.6%、24年2.1%、25年1.3%)
- 成長率見通しは、23年0.3%、24年0.6%、25年0.9%(4-6月期前年比)
(需要と生産)
- 実質可処分所得が縮小し、家計部門の重しとなり始めているという兆候が増えてきた
- 実質小売売上高は2月に0.5%縮小した後、3月は1.4%減となった
- 名目小売売上高は概ね安定しているが、最近の売上価格の上昇により販売量は低下している
- GfK消費者信頼感調査は4月期に急減し、08年半ばに記録した前回の最低水準に近づいた
- 4月は信頼感指数を構成する5つの要素すべてが落ち込んだ
- しかしながら、住宅価格や住宅市場活動の指標は堅調だった
- 企業活動調査は弱かったが、家計部門調査と比較すると引き続き堅調さを維持していた
- S&P Global/CIPSの総合指数(速報値)は4月に57.6となり、3月の60.9から下落したものの、引き続き長期平均を上回っている
- 新規受注および生産見込みについては、長期平均を下回っている
- 中銀取引先関係者によれば、総じて生産は堅調であり、事業サービスが力強い成長をしていると報告されている
- しかし、労働力および財不足が成長を阻害しており、後者については、ウクライナ侵攻と中国でのコロナ対応の封じ込め政策強化により悪化、拡大している
- 不確実性が増加するなかではあるが、投資意欲は強く、投資支出は費用増加、原材料と労働力不足により抑制されている
- 4月の意思決定者調査(Decision Maker Panel)の結果では、21年10-12月期から22年10-12月期の売上期待は、堅調さを維持していた
- 財務相は3月23日に下院で春季財政報告(Spring Statement to Parliament)を実施した
- 2月に公表されていた、エネルギー料金の払い戻し策(Energy Bills Rebate package)に加えて、12か月の燃料税削減を導入した
- さらに、国民保険料の支払いが必要となる年間所得の基準(National Insurance Primary Threshold、Lower Profits Limit)を22年7月から引き上げ、所得税を24年4月から20%から19%に引き下げることも公表した
- 中銀スタッフは、これらにより、今後数年でGDPが0.5%程度押し上げられると試算している
(供給、費用、価格)
- 全部門の週当たり平均所得は、21年12-22年2月の前年比で5.4%上昇し、基本給、ボーナスの双方の強さを反映して、2月の報告書の見通しよりも1%ポイントほど高い
- 中銀スタッフは、労働力の構成変化や雇用維持政策(Coronavirus Job Retention Scheme)といった機械的な影響を除いた民間部門の基本給の基調的な伸び率が、4-4.5%ほどであると推計している
- 中銀スタッフのデータベースによる妥結賃金の中央値は、今年の初めに上昇しており、これは2月の妥結賃金調査の結果と整合的である
- より最近に関して、中銀関係者によれば、特に特定技術を有した従業員は需要が強く、雇用を維持するため、今年にかけて妥結賃金の引き上げや1回のボーナス支払の検討を始めている
- 基調的な賃金上昇率は、労働市場のひっ迫とインフレ率の上昇を受けて、2月の報告書よりも大幅に、今年にかけて上昇を続けるとみられる
- ロシアのウクライナ侵攻は商品価格を押し上げた
- 22年4月のインフレ率は、ガス電力市場監督局(Ofgem)のエネルギー価格上限引き上げによる54%の上昇が見込まれるため、9.1%まで上昇すると見られ、4月に1.5%ポイントほど押し上げられる
- スポット価格の上昇が緩和されたものの、卸売価格の上昇が続けば、その次の10月の上限価格設定でもさらに引き上げられる可能性が高い
- 上限価格を決定するための、6か月の観測期間のうち半分が経過している
- この価格が維持された場合、ガスと電気の先物価格の上昇により、上限価格が40%程度引き上げられることになり、CPIインフレ率はさらに1.5%ポイントほど10月から押し上げられる
- 加えて、石油や食料品の卸売価格の上昇も家計に転嫁されている
- 市場予測の政策金利は22年末に約2%までに達しており、2月のMPC直前よりも70ベーシスポイントほど高い。
- 最新のイングランド銀行の市場参加者調査(Market Participants Survey)では今後数年間では市場で観測される政策金利の予測経路よりもやや低くなると予想しているが、多くの回答者は、リスクが下方よりも上方に傾いていると考えている
- MPCは、ロシアのウクライナ侵攻について、中銀取引先関係者や意思決定者調査(Decision Maker Panel)における景況感調査の説明を受けた
- しかし、侵攻が英国経済に及ぼす影響について、ほとんどの証拠はまだ得られていない
- しかしながら、実質の税引後の実質雇用者報酬の下押し圧力は、商品価格の上昇によって以前に予想されていたものより、かなり大きくなるだろう
(当面の政策決定)
- 仮にエネルギー価格や商品価格が先物曲線程度に下落することは、これらの価格の下方リスクとなる
- GDPの水準は予測期間末までに1%近く押し上げられ、超過供給や失業率は5月報告書の中央見通しに比べて0.75%ほど低くなる
- CPIインフレ率は中央見通しより急速に目標に近づいて、2-3年後は約0.5%となり1%ポイント以上目標を下回る
- 「今後数か月での幾分かの引き締め(some degree of further tightening)が適切かもしれない(may be)と判断した」とのガイダンスに関して、何人かの委員(some members)は、政策期間における経済活動とインフレ率のリスクバランスはより均衡しているとして、このガイダンスが適切ではないと判断した
(運用上の考慮事項)
- 以前のガイダンスに従って、委員はこのMPCで22年9月からの社債売却計画や24年4月5日以前に償還を迎える社債についての説明を受けた
- さらなる詳細はこの議事要旨後に提供されるハイレベルな市場通知(Market Notice)により提供され、完全な通知は売却計画が開始される少なくとも1か月前には提供される
- 社債売却計画のより詳細な情報提供は、潜在的な英国債売却計画に関する枠組み(design)や時期(timing)のシグナルと解釈すべきではない
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年05月06日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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