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1.結果の概要:失業率は3%台で推移
【3月】
・失業保険申請件数1は前月(175.10万件)から4.69万件減の170.41万件となった(図表1)。
・申請件数の雇用者数に対する割合は4.3%となり、前月(同4.4%)から低下した
・給与所得者数2は前月(2955.9万人)から3.5万人増の2952.4万人となった。
増減数は前月(+17.4万人)から減少、市場予想3(+12.5万人)も下回った。
【2月(21年12-22年2月の3か月平均)】
・失業率は3.8%で前月(3.9%)から低下、市場予想(3.8%)と一致した(図表1)。
・就業者は3248.5万人で3か月前の3247.5万人から1.0万人の増加となった。
増減数は前月(▲1.3万人)から増加に転じたが、市場予想(+5.2万人)は下回った。
・週平均賃金は、前年同期比5.4%で前月(4.8%)から加速、市場予想(5.4%)と一致した(図表2)。
1 求職者手当(JSA:Jobseekerʼs Allowance)、国民保険給付(National Insurance credits)を受けている者に加えて、主に失業理由でユニバーサルクレジット(UC)を受給している者の推計数の合算。なお、UCはJSAより幅広い求職手当てであり、失業者数を示す統計としては過大評価している可能性がある。このため、ONSは失業保険等申請件数について公式統計とはしておらず実験統計という位置付けで公表している。ただし、公表日の前月のデータを入手できるため、速報性の高さという利点がある。
2 歳入関税庁(HRMC)の源泉徴収情報を利用した統計。直近データは利用可能な情報の85%ほどを集計して算出。
3 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:労働参加率の低迷が続く
給与所得者データでは、給与所得者数の増加が続いているものの3月の増加幅は限定的となった(図表4)。産業別には、最近増加傾向にある事務サービスや居住・飲食業が引き続き増加をけん引する一方、製造業や卸・小売業が前月比でマイナスとなり冴えなかった。月あたり給与額(中央値)については前年同月比5.9%で2月(5.8%)並みの伸び率だった(図表4・6)。
名目平均賃金は21年12-22年2月の前年同期比で5.4%と高い伸び率が続いている(前掲図表2)。ただし、高インフレ率の影響で実質値は前年比で0.4%とゼロ%台での推移が続いており、コロナ禍の影響を除いた2年前比で見ると、名目値と実質値の乖離がかなり拡大していることが分かる(図表6)。また、ボーナスを含まない基本給では名目伸び率が4.0%、実質伸び率が▲1.0%となり、基本給の実質伸び率は5か月連続で前年比マイナス成長だった。
3 3か月平均のデータは季節調整値だが、単月データは未季節調整値のため季節性が除去されていない点には留意が必要
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年04月13日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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