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- ユーロ圏GDP(2022年1-3月期)-プラス成長を維持したが、伸び率はさらに鈍化
2022年05月02日
1.結果の概要:4四半期連続でプラス成長だが伸びは鈍化
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様
2.結果の詳細:フランス・スペインでは個人消費が低迷
2022年1-3月期の成長率は前期比0.2%(年率換算0.8%)だった。4四半期連続でのプラス成長だったが、伸び率は21年10-12月期(前期比0.3%、年率換算1.2%)からは鈍化した。なお、コロナ禍前(19年10-12月期)の水準と比較すると+0.4%となった。1-3月期は2月にロシアがウクライナに侵攻したことで、物価上昇圧力といった経済への下押し圧力が強まった時期でもある。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ0.2%(前期▲0.3%)、フランス▲0.0%(前期0.8%)、イタリア▲0.2%(前期0.7%)、スペイン0.3%(前期2.2%)となった。いずれの国も21年10-12月期の伸びから鈍化し、フランスとイタリアはマイナス成長に転じた。コロナ禍前と比較すると(図表4)、大国4か国のうち、フランスはプラス圏にある(21年7-9月期にコロナ禍前を超えた)が、他の国は依然としてコロナ禍前の水準を下回っている。
経済規模の大きい4か国の伸び率を見ると(図表3)、前期比ではドイツ0.2%(前期▲0.3%)、フランス▲0.0%(前期0.8%)、イタリア▲0.2%(前期0.7%)、スペイン0.3%(前期2.2%)となった。いずれの国も21年10-12月期の伸びから鈍化し、フランスとイタリアはマイナス成長に転じた。コロナ禍前と比較すると(図表4)、大国4か国のうち、フランスはプラス圏にある(21年7-9月期にコロナ禍前を超えた)が、他の国は依然としてコロナ禍前の水準を下回っている。
次にフランスとスペインは各国統計局(フランス国立統計経済研究所(INSEE)、スペイン統計局(INE))がGDPの詳細を公表しているので、以下で見ていきたい。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲1.3%(前期0.6%)、政府消費▲0.0%(前期0.4%)、投資0.2%(前期0.3%)、輸出1.5%(前期3.5%)、輸入1.1%(前期3.2%)となった。主要項目のいずれも鈍化し、特に個人消費は大幅なマイナス成長となった。個人消費は20年10-12月期にコロナ禍前の水準を回復したが、今期に再び下回った(コロナ禍前比▲1.2%)。一方、在庫変動が寄与度で0.4%ポイント(前期0.3%ポイント)と全体の伸びを押し上げている。
産業別の付加価値を見ると、製造業が2.2%(前期▲0.1%)、建設業が▲0.7%(前期0.5%)、市場型サービス産業▲0.1%(前期1.5%)、非市場型サービス0.4%(前期▲0.0%)だった。なお、コロナ禍前との比較では、対面サービス産業の代表である居住・飲食サービス(▲20.6%)の回復がまだ十分でないほか、供給制約の影響を受けている製造業(▲3.0%)の回復も遅い(図表5)。
フランスの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲1.3%(前期0.6%)、政府消費▲0.0%(前期0.4%)、投資0.2%(前期0.3%)、輸出1.5%(前期3.5%)、輸入1.1%(前期3.2%)となった。主要項目のいずれも鈍化し、特に個人消費は大幅なマイナス成長となった。個人消費は20年10-12月期にコロナ禍前の水準を回復したが、今期に再び下回った(コロナ禍前比▲1.2%)。一方、在庫変動が寄与度で0.4%ポイント(前期0.3%ポイント)と全体の伸びを押し上げている。
産業別の付加価値を見ると、製造業が2.2%(前期▲0.1%)、建設業が▲0.7%(前期0.5%)、市場型サービス産業▲0.1%(前期1.5%)、非市場型サービス0.4%(前期▲0.0%)だった。なお、コロナ禍前との比較では、対面サービス産業の代表である居住・飲食サービス(▲20.6%)の回復がまだ十分でないほか、供給制約の影響を受けている製造業(▲3.0%)の回復も遅い(図表5)。
スペインの成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費▲3.7%(前期1.5%)、政府消費1.3%(前期▲1.6%)、投資3.4%(前期3.1%)、輸出3.4%(前期7.2%)、輸入▲0.5%(前期4.5%)となった。スペインでも特に個人消費の落ち込みが激しく、コロナ禍前比では▲9.8%の水準にとどまる。産業別には、製造業が前期比▲0.3%(前期0.9%)、建設業が前期比0.3%(前期3.4%)、サービス業が前期比0.4%(前期2.1%)となっている。コロナ禍前との比較ではサービス業が▲3.0%、製造業が▲5.6%、建設業▲12.6%となっており、コロナ禍で大きく落ち込んだサービス業よりも製造業や建設業の低迷が目立つ状況が続いている(図表6)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年05月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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