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3月末での3回目のワクチン接種意向~接種意向は49歳以下と50歳以上で隔たり。副反応の不安・交互接種の不安は依然として高い

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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本稿では、2022年3月にニッセイ基礎研究所が実施した「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査1」の結果を使って、3回目のワクチン接種状況、および今後の意向、接種を希望しない理由について年代別に示す。
1 20~74歳男女個人を対象とするインターネット調査。2022年3月23日~29日実施。有効回答数は2,584。詳細は、「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要をご参照ください。
1―― ワクチン接種状況
2022年3月末の時点で、新型コロナウイルスのワクチンについて、「二回目まで接種を完了している」は全体の84.3%だった。「一回目の接種(または接種予約)は終えている」が1.0%、「まだ予約しておらず、しばらく様子を見てから接種したい」が2.3%だった。一方、「あまり接種したくない(5.6%)」または「絶対に接種したくない(6.8%)」は、合わせて12.4%だった。2回目までの接種状況は、12月末調査以降、大きくは変わっていない。
続いて、1~2回目のワクチンについて、「二回目まで接種を完了している」または「 一回目の接種(または接種予約)は終えている」と回答した2,204人を対象に、3回目の接種状況および今後の接種意向を尋ねた。その結果、「3回目の接種を終えている」は、全体で48.8%、「3回目の接種日は決まっており、接種日を待っている」が13.9%、「まだ接種日は決まっていないが、すぐにでも接種したい」が14.2%、「まだ接種日は決まっていないが、しばらく様子を見てから接種したい」が16.2%だった。「あまり接種したくない」は5.9%、「絶対に接種したくない」は0.9%で、接種したくないと考えている割合はあわせて6.8%だった。1~2回目の接種を終えている人が3回目接種の対象となるため、ワクチン自体を忌避する人は多くはないと思われる。
2021年12月末調査と比較すると、接種は進んでおり、「しばらく様子を見てから接種したい」「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」といった、すぐには接種を希望しない割合は、54.4%から23.0%に大幅に低下していた。
年代別にみると、接種は高年齢ほど進んでおり、70~74歳では89.4%が3回目を終えていた。3回目のワクチンは、2回目の接種から6か月以上経過するまで打つことができないことも若年の接種が遅い要因の1つとなっていると考えられる。そこで、「3回目の接種を終えている」「3回目の接種日は決まっており、接種日を待っている」「まだ接種日は決まっていないが、すぐにでも接種したい」といった3回目の接種に前向きな考えをもつ人の割合で比較すると、50歳以上が8割を超えて高いのに対し、49歳以下では7割に満たないことから、49歳以下と50歳以上で隔たりがありそうだ。
2――3回目のワクチン接種をすぐには希望しない理由
3回目のワクチンをすぐには接種を希望していない2509人を対象に、接種を希望していない理由として19項目をあげて複数回答で尋ねた結果を図表2に示す。接種を希望していない理由は、“副反応の不安”“ブースター・交互接種の不安”“順番待ち”“3回目不要”“面倒・拘束されたくない”“ワクチンの種類を選びたい”“その他”の7つのグループに分けて3、12月末の結果と比較した。その結果、3か月経過したことで、「まだ予約券が届いていないから」「まだ国内でのブースター接種が進んでいないから」「まだ医療従事者や高齢者等が終わっていないから」等の“順番待ち”が減少していた。また、「2回目の接種で十分だと思うから」「基本的な感染防止対策で十分だと思うから」等の“3回目不要”や、「接種することが面倒だから」等の“面倒・拘束されたくない”は、12月調査より上昇していた。一方、すぐには接種を希望しない理由として回答した人の割合が高かった“副反応の不安”“ブースター・交互接種の不安”は12月末と大きな変化はなく、接種が進んでも依然として高かった。
2 すぐには接種を希望していない人とは、「まだ接種日は決まっていないが、しばらく様子を見てから接種したい」「あまり接種したくない」「絶対に接種したくない」のいずれかと回答した人とした。
3 この7つのグループは、2021年12月末に実施した「第7回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の結果で、3回目のワクチンを接種しない理由を因子分析した結果を参考に作成した。12月末の調査については、村松容子「12月末での3回目のワクチン接種意向~2回目まで接種した人でも、副反応の不安やブースター接種の不安は大きい」ニッセイ基礎研究所 基礎研レター(2022年2月1日)を参照ください。
続いて、年代と、3回目のワクチン接種意向別にみる(図表3)。20~30代に多かったのが「注射が苦手だから」で、20代では「まだ家族や友人など身近な人がブースター接種をして問題がないことが確認できていないから」「接種することが面倒だから」「接種会場での感染リスクがあるから」も他年代よりも高かった。すぐには接種を希望しない理由としてもっとも多かった「副反応が心配だから」は、40代以下で高く、40代以下の中では年齢が高いほど高かった。
図表1で示したとおり、50代以降ですぐには接種を希望していない人は少数派となるが、理由をみると、50代では「まだ予約券(接種案内)が届いていないから」「接種の日時や会場に拘束されたくないから」「ワクチンの種類を選びたいから」が、60~74歳では「ブースター接種による副反応などの情報が少ないから」「ブースター接種による効果が明確ではないから」「基本的な感染防止対策(マスクや手洗い・うがいなど)で十分だと思うから」が高かった。
3回目のワクチン接種意向別にみると、「しばらく様子を見てから接種したい」では、「まだ予約券(接種案内)が届いていないから」「まだ医療従事者や、高齢者など重症化リスクの高い人のブースター接種が終わっていないから」「ワクチンの種類を選びたいから」が高く、「あまり接種したくない」または「絶対に接種したくない」では、“副反応の不安”「ブースター接種による効果が明確ではないから」“3回目不要”が高かった。ニッセイ基礎研究所がこれまでに実施した調査では、接種が進んでいないことを理由に、「しばらく様子を見たい」と回答している人は、医療従事者や高齢者等の接種が進むと自身も接種する傾向が見られたことから、3回目のワクチンにおいても、同様に周囲の接種が進むと順次接種していくと考えられる。
3――若年の3回目接種はこれから本格化。若年だけでなく、よりリスクが高い中高年への推奨も引き続き重要
以上のとおり、2022年3月に実施した調査によると、「二回目まで接種を完了している」または「 一回目の接種(または接種予約)は終えている」の48.8%が「3回目の接種を終えている」と回答していた。3回目のワクチンは、2回目のワクチン接種から6か月以上経過してから打つため、3回目のワクチン接種も高年齢ほど進んでいた。そこで、「3回目の接種を終えている」に加えて、「3回目の接種日は決まっており、接種日を待っている」「まだ接種日は決まっていないが、すぐにでも接種したい」を合わせたところ、全体の76.9%が3回目の接種に前向きだと考えられた。接種に前向きな人の割合を年代別にみると、50歳以上では、8割を超えて高いのに対し、49歳以下では7割に満たないことから、49歳以下と50歳以上で、接種意向に隔たりがありそうだ。
すぐには接種を希望しない理由として、国内での接種が進んでいないことなどを理由として、様子を見ている人は、12月に実施した調査と比較すると減少しており、順次接種が進んでいた。しかし、副反応に関連する不安をあげる人は半数弱、ブースター・交互接種に関連する不安をあげる人は3割強と、12月に引き続き高かった。20~30代ですぐには接種を希望していない人には、「注射が苦手だから」「接種することが面倒だから」の割合が他年代よりも高かった。また、20代では「まだ家族や友人など身近な人がブースター接種をして問題がないことが確認できていないから」も高かった。
すぐには接種を希望しない理由としてもっとも高かった「副反応が心配だから」は40代で特に高かった。一方、60歳以上で、すぐには接種を希望していない人には、「ブースター接種による副反応などの情報が少ないから」「ブースター接種による効果が明確ではないから」などブースター接種へ不安を感じている人と、「基本的な感染防止対策で十分」など3回目は不要と考えている人が多かった。
3回目のワクチンについては、若年の接種率の低さが課題とされている。しかし、2021年9月末の時点で、65歳以上は85%程度以上が2回目の接種を終えていたのに対し、20代は1回目を47%が、2回目を30%が、30代は1回目を52%が、2回目を32%が終えた段階だった4ことから、本調査が行われた2022年3月末に3回目の接種対象となっていたのは、20~30代では3割程度だったと思われる。現在、2回目接種は20代、30代いずれも80%程度であることから5、若年者の3回目のワクチンは今後進んでいくと考えられる。ただし、20代は「注射が苦手だから」「接種することが面倒だから」が他年代より高いことから、若年者の接種には特に接種しやすさに配慮することが必要となりそうだ。また、「まだ家族や友人など身近な人がブースター接種をして問題がないことが確認できていないから」で高く、身近な人の接種が若年者の接種の後押しになる可能性があった。
今回の調査では、20~30代の若年者だけでなく、40代も20~30代と同様に、50歳以上と比べると、接種意向が低い傾向があった。40代では、特に、副反応への不安が高かった。子ども世代にワクチン接種を推進するためには、その親世代である40代のワクチンへの理解が欠かせないことから、40代の接種意向について引き続き注視する必要がある。一方で、より感染時に重症化リスクが高いとされる60歳以上で“3回目不要”“ワクチンの種類を選びたい”が高いことから、ワクチン接種率を上げるためには、若年への対策だけでなく、高年齢者に向けてワクチンの重要性等を引き続き周知する必要があるだろう。
4 日本経済新聞(2021年9月24日)「20代の1回目接種率47% 河野氏、年代別を初公表」による。接種率は9月22日時点のもの。
5 首相官邸「新型コロナワクチンについて」(https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html、2022年4月11日アクセス)「年齢階級別の実績(4月11日公表時点)」
(2022年04月21日「基礎研レポート」)

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- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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