2022年02月24日

今後5年間の韓国のリーダーになるのは誰だろうか?-李在明、尹錫悦候補の経済政策、不動産政策、労働政策を比較する-

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

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■要旨
 
  • 李候補は政府の役割拡大を中心とする大きな政府を目指しているのに対して、尹候補は政府の役割をできるだけ小さくし、民間を中心に経済を成長させる小さな政府を志向している。
     
  • 経済政策は、李候補が「基本シリーズ」、「555公約」、「政府の財政支出拡大」等の経済政策を推進する計画であることに比べて、野党「国民の党」の尹候補は、「力強い成長、温かい福祉、成長と福祉における公正性の確保」を主な内容とする、いわゆる「Yノミクス」に基づいて経済政策を実施する方針だ。
     
  • 不動産政策について、李候補は国や自治体、韓国土地住宅公社等のような公共主導で住宅の供給を増やす方針であるのに対して、尹候補は貸出に関する規制を緩和すると共に民間企業を中心に供給を拡大しようと考えている。
     
  • 労働政策については、李候補は文政権の労働政策は失敗しているが、基本方針は継承する考えだ。デジタル、エネルギー、公共保健を中心に300万人の雇用を創出し、文政権が推進した労働時間の短縮を継承する。
     
  • 一方で、尹候補は基本的に文政権の労働政策を大幅修正する考えだ。民間を中心に雇用を創出し、国際協力を強化して若者の海外への就業を支援する。そして、無理な労働時間の短縮よりも柔軟な働き方を推進し、最低賃金に関しては、現場の声や中小企業の財政状況を反映して合理的に改善していく方針である。
     
  • 韓国では2月13日から14日までに第20代大統領選の候補者登録が行われ、李在明、尹錫悦、安哲秀、沈相ジョン候補を含めて計14人が候補者として登録した。今後5年間の韓国のリーダーに当選されるのは誰なのか、今後の動向に注目したい。


■目次

1――最近の支持率は尹錫悦候補がリード
2――李在明、尹錫悦候補の主な公約は?
3――李在明、尹錫悦候補の主な経済政策比較
4――李在明、尹錫悦候補の主な不動産政策比較
5――李在明、尹錫悦候補の主な労働政策比較
6――政権維持か交代か
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生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
    独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

    ・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
    ・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
    ・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
    ・2021年~ 専修大学非常勤講師
    ・2021年~ 日本大学非常勤講師
    ・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
    ・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
    ・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

    ・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
           東アジア経済経営学会理事
    ・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

    【加入団体等】
    ・日本経済学会
    ・日本労務学会
    ・社会政策学会
    ・日本労使関係研究協会
    ・東アジア経済経営学会
    ・現代韓国朝鮮学会
    ・韓国人事管理学会
    ・博士(慶應義塾大学、商学)

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