2022年01月31日

2021年10-12月期の実質GDP~前期比1.4%(年率5.6%)を予測~

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

文字サイズ

■要旨
 
  1. 2/15に内閣府から公表される2022年10-12月期の実質GDPは、前期比1.4%(前期比年率5.6%)と2四半期ぶりのプラス成長になったと推計される。
     
  2. 外需寄与度が前期比0.4%(年率1.4%)のプラスとなる中、緊急事態宣言の解除を受けて、外食、宿泊などの対面型サービスを中心に民間消費が前期比2.3%の高い伸びとなったことが、成長率を大きく押し上げた。2021年10-12月期の実質GDPはコロナ前(2019年10-12月期)比で▲0.3%の水準まで回復したが、直近のピーク(2019年4-6月期)に比べれば▲3.0%低い。
     
  3. 2021年入り後、交易条件の悪化に伴う海外への所得流出が続いている。2021年の交易利得は▲3.8兆円となり、前年から▲6.9兆円の悪化が見込まれる。
     
  4. 2021年10-12月期は高成長となったが、2022年入り後、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて、34都道府県でまん延防止等重点措置が適用されている。2021年1-3月期は民間消費が減少に転じる可能性が高く、成長率の急低下は避けられない。現時点では消費の落ち込みを輸出や設備投資の増加がカバーすることにより、前期比年率1%程度のプラス成長を予想している。ただし、緊急事態宣言の発令などにより行動制限をさらに強化すれば、マイナス成長に陥る可能性が高まるだろう。

 
実質GDP成長率の推移
■目次

●10-12月期は年率5.6%を予測~2四半期ぶりのプラス成長
●主な需要項目の動向
  ・民間消費~財、対面型サービスを中心に高い伸び~
  ・住宅投資~木材価格の高騰が下押し要因に~
  ・民間設備投資~2四半期連続の減少~
  ・公的固定資本形成~4四半期連続の減少~
  ・外需~輸出が増加に転じ、成長率の押し上げ要因に~
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【2021年10-12月期の実質GDP~前期比1.4%(年率5.6%)を予測~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

2021年10-12月期の実質GDP~前期比1.4%(年率5.6%)を予測~のレポート Topへ