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パウエル・ショックで株価急落 今後の展開は?

金融研究部 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾
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■パウエル・ショック
■嵐が過ぎるのはいつか
今週25日にIMF(国際通貨基金)が最新の経済見通しを公表したとおり、世界的に(もちろん日本も)22年のプラス成長が見込まれている。ファンダメンタルズは悪くないどころか、むしろ良いが、FRBの引き締め加速は新興国経済やクレジット市場にも打撃となる恐れがある。
株式以外の投資家も含めて世界中の投資家がFRBに対して疑心暗鬼になっているとみられ、悲観的な投資家の売り注文が一巡するまで幅広い資産の下落基調が続くだろう。目先で言えば今夜(27日)のアメリカ市場が売りのピークになる可能性に期待したいところだが、来週以降に持ち越す可能性も十分にある。
東京都などに緊急事態宣言が再び発動される可能性が指摘され始めたことも、投資家の不安心理を増幅させる。ただでさえ日本株の魅力が薄れたところに人為的な経済活動の停滞が加わることになれば、海外投資家だけでなく国内投資家も消極姿勢から簡単には戻らないだろう。予断は禁物だ。
■金利上昇局面での“質への逃避”
26日に決算発表した主な個別企業では、ファナックが1.1%上昇した。同社は22年3月期の純利益の見通しを5.6%引き上げ市場予想を上回った。新たな見通しに対する第3四半期の純利益進捗率は約75%で、計画達成はほぼ確実視される。このタイミングでの上方修正は、来期(23年3月期)業績への期待を高める効果もあったようだ。
一方、22年3月期の見通しを据え置いた日本電産は6.1%の下落となった。見通しが市場予想を下回ったうえ、第3四半期の進捗率が約68%にとどまった点も嫌気されたのだろう。というのも、21年3月期は第3四半期時点の純利益進捗率が69%で、年度末実績は計画対比101%で終えた。22年3月期もこのままでは計画達成がやっとの水準とも解釈できる。当然、来期への期待は高まらない。
27日はPER(株価収益率)が高いハイテク株が軒並み下落したことも含めて、共通するのは「利回りの質への逃避」だ。今後、米国金利の上昇が想定される中で、相対的かつ実質的に高い利回りを確保できそうなところに投資資金がシフトしたと考えられる。
相場全体の底入れがいつか、そしてイールド・ハンティング(利回り物色)でどの銘柄が選好されるか注目したい。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2022年01月27日「基礎研レター」)

03-3512-1852
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
1999年 (株)ニッセイ基礎研究所へ
2023年より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会認定アナリスト
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