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- 中国経済の現状と22年の注目点-全人代、不動産規制、ゼロコロナ政策に注目!
2022年01月28日
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■要旨
- 中国経済はコロナショックから持ち直したあと停滞している。世界に先駆けてコロナショックから回復した中国経済だが、コロナ対策で緩んだ財政金融を引き締めると減速し始め、21年10-12月期の成長率は実質で前年同期比4.0%増と3四半期連続で減速した(左下図)。また、国際的な資源エネルギー高を背景にしたインフレが経済成長を蝕み始めている。
- 21年の実質成長率(8.1%)に対する寄与度を見ると、最終消費は前年にコロナショックでマイナス寄与に落ち込んだ反動で5.3ポイントと最大のプラス寄与となった。総資本形成(≒投資)はコロナ対策の縮小を背景に1.1ポイントのプラス寄与に低下した。また、純輸出は引き続きパンデミックが追い風となり1.7ポイントとプラス寄与が増えた。
- 22年の注目点としては、第一に全人代で示される経済運営方針が挙げられる。(1)「5.5%前後」とも「5%以上」とも言われる成長率目標、(2)財政政策に関しては党大会を控える22年を景気重視スタンスで臨むのか、それとも長期的視点で持続可能性を高めるのか、(3)金融政策に関しては政策金利を引き下げ始めた今回、どんな方針を示すのかも注目される(右下図)。
- 第二に挙げる注目点は厳しい不動産規制の行方である。ここもとの景気悪化を食い止める上では、政策金利の引き下げを継続するとともに不動産規制を緩和するのが有効だろうが、そうすれば住宅バブルの膨張を許すことになるため、中国政府にとっては難しい判断となる。
- 第三に挙げる注目点は“ゼロコロナ”政策の行方である。中国では“ウィズコロナ”に転換する前提条件が整いつつあり、北京冬季パラリンピックが終了し、世界保健機関(WHO)がエンデミックへと認識を変更すれば、中国も“ウィズコロナ”政策に転換する可能性がある。米ユーラシア・グループが22年の世界10大リスクの筆頭に挙げるなど、中国の”ゼロコロナ“政策は世界を脅かすリスクなだけに、実現すればポジティブ・サプライズとなるだろう。
(2022年01月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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