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中国経済の現状と今後の注目点-電力不足、不動産規制、コロナの3点に注目!
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三尾 幸吉郎
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- 21年7-9月期の実質成長率は前年同期比4.9%増と前四半期の同7.9%増を下回り2四半期連続で減速した。昨年1-3月期にはコロナ禍で落ち込んだが、財政金融政策をフル稼働させて昨年4-6月期にはコロナ前を回復した。しかし、財政金融が引き締め方向に変化すると、国有企業の投資は鈍り、不動産業は資金調達に苦しみ、経済成長の勢いは鈍化してきた。
- 消費者物価(CPI)は落ち着いており21年の抑制目標(3%前後)を下回る水準で推移している。しかし、工業生産者出荷価格(PPI)が急上昇し、実質成長率の押し下げ要因となっている(下左図)。これまでCPIを押し下げていた豚肉が19年に急騰する前の価格にほぼ戻ってきたことから、今後は押し下げ要因が無くなってCPIが上昇傾向を強める可能性がある。
- ひとつの注目点としては電力供給不安が挙げられる。その背景には、(1)電力需要の高まり、(2)水力発電の不振、(3)石炭高による火力発電の採算悪化、(4)晴雨表を発表したことによる地方政府の過剰反応の4つがある。中国政府が対策を打ったことで(3)と(4)は近々解消に向かうと想定できるが、(1)と(2)は世界経済や天候に左右される面があるため予断を許さない。
- もうひとつの注目点は厳しい不動産規制の行方である。その背景には、住宅価格が一般庶民の手に届かないレベルまで高騰してしまったことがある(下右図)。中国恒大集団が経営不安に陥り、住宅価格が下落に転じても、中国政府は「住宅は住むためのものであって、投機のためのものではない」と繰り返しており、不動産規制が直ぐに解除されるとは考えにくい。
- さらに、新型コロナウイルス感染症が再流行する可能性も残る。国内感染はほぼ収束しているものの、22年2月には北京冬季五輪が開催されるため、海外からの流入で再流行する恐れがある。“ウィズコロナ”で臨む日本から見れば虫メガネで見ないと分からないような小振りな感染でも、“ゼロコロナ”を目指す中国では経済への影響が大きいだけに注意を要する。
(2021年10月29日「Weekly エコノミスト・レター」)
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