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- 中国経済の回復はまだ続くのか?-そのカギを握る4つの注目点
2021年07月30日
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■要旨
- 新型コロナウイルス感染症とのこれまでの闘いを振り返ると、中国を発火点に、韓国、欧州・米州・豪州、その他新興国へと拡散して、世界では現在も猛威を振るっているが、中国ではここ1年余り大きな感染拡大は確認されず、ほぼ沈静化したと言ってよい状況にある(下左図)。
- こうした環境下で中国経済は、2021年4-6月期の実質成長率が前年同期比7.9%増と、前四半期の同18.3%増を大きく下回ったものの、8%近い高成長を維持した。一方、インフレに関しては、消費者物価は安定しているものの、工業生産者出荷価格(PPI)が上昇し始めた。
- 投資の代表指標である固定資産投資は、財政金融両面から打ち出された新型コロナ対策が投資を促し、20年通期では前年比2.9%増、21年上半期も同12.6%増と高い伸びを示した。しかし、財政金融政策が引き締め方向に変化したことを背景に、ここもと息切れ気味である。
- 個人消費の代表指標である小売売上高は、コロナ禍の影響で消費マインドが大きく落ち込んだため、20年通期は前年比3.9%減と不振だったが、コロナ禍が収束に向かうとともに持ち直し、21年上半期には前年同期比23.0%増と投資を上回る伸びを示すこととなった。
- 一方、輸出は依然として好調で、21年上半期も前年同期比38.7%増と高い伸びを示した。但し、内訳を見ると、不振だった伝統的輸出品(衣服、靴など)が復調した一方、好調だった防疫関連品(医療機器やマスクなど)が前年割れに落ち込むなど、輸出内容には変化がある。
- 中国経済の動向を探る上で、現在筆者が注目しているのは以下の4点である。
[1]輸出:これまではパンデミックが思わぬ追い風となったが、その好調がいつまで続くか
[2]企業利益:工業生産者出荷価格(PPI)上昇を企業は製品に価格転嫁できるか否か
[3]国内旅行:ワクチン接種が15億回を超え、中秋節・国慶節の連休に盛り上がりを見せるか
[4]不動産市場:住宅ローンに対する総量規制で不動産価格は下落に転じるのか(下右図)
(2021年07月30日「Weekly エコノミスト・レター」)
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