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- 中国経済:景気指標の総点検(2021年夏季号)-高成長の陰で静かに進む変化の兆し
2021年06月25日
■要旨
- 21年1-3月期の国内総生産(GDP)は新型コロナ禍で落ち込んだ反動で前年同期比18.3%増の高成長となった。しかし、前四半期と比べた経済成長は前期比年率で2.4%増と、20年10-12月期の同13.4%増を大きく下回った(下左図)。一方、消費者物価はいまのところ落ち着いており、21年の抑制目標(3%前後)を下回る水準で推移している。しかし、5月の工業生産者出荷価格(PPI)が前年同月比9.0%上昇するなどインフレ懸念が浮上してきている。
- 需要面3指標を見ると、小売売上高は新型コロナ感染が広がると“×”、沈静化すると“〇”という展開が続いており、足元では“×”に転じている。新型コロナ対策で盛り上がっていた固定資産投資だが、足元では2ヵ月連続の“×”となっている。また、パンデミックが追い風となった輸出は、昨年4月以降13ヵ月連続で“○”だったが、5月には“×”に転じた。
- 供給面3指標を見ると、鉱工業生産は3ヵ月連続で“×”となり減速傾向を示している。但し、製造業PMIが5月に“〇”に転じるなど底打ちの兆しが見られるのに加えて、非製造業PMIが3ヵ月連続で“〇”となるなどサービス業には加速を示唆する兆候がでてきた。
- その他の指標を見ると、通貨供給量(M2)は新型コロナ対策として打ち出された“疫情融資”の影響で昨年6月までは“〇”が続いていたが、7月以降は“×”が多くなり、金融の量的緩和は縮小しつつある。これを受けて、電力消費量、道路貨物輸送量、工業生産者出荷価格も足元では“×”が目立ち始めた。なお、貨物輸送量はコロナ前(2019年)のレベルをほぼ回復したものの、ヒトの動きは鈍く旅客輸送数のレベルは依然として低い(下右図)。
- 景気インデックス(鉱工業生産、サービス業生産、建築業PMIを合成加工して毎月の実質成長率を推計したもの)は、足もとでは反動増の効果が薄れる段階に差し掛かっており、5月には同9.0%増まで低下、今後もしばらく低下傾向が続くと見られる。
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三尾 幸吉郎
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