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高度医療機器の国際比較-日本の高度医療機器配備は世界一か?
保険研究部 主席研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 篠原 拓也
1――はじめに
日本は、特にCTやMRIなどの診断用の高度医療機器の医療施設への配備が進んでいる、とされてきた。高齢化が進み、生活習慣病のリスクが高まるなかで、画像診断技術を用いた医療の高度化が図られてきた。
本稿では、OECDが2021年に公表している統計データ1をもとに、こうした高度医療機器の各国の配備状況等を比較していくこととしたい。
1 OECD Health Statistics 2021 (アドレスは、https://www.oecd.org/els/health-systems/health-data.htm)
2――高度医療機器の国際比較
CT検査やMRI検査やエコー検査は、腫瘍などの形や大きさを調べる形態検査といわれる。これに対して、PET検査や核医学検査は、代謝などの機能も見ることができるため、機能検査といわれる。
本稿では、CT、MRI、PET、ガンマカメラ、マンモグラフィについて、各国の配備状況等をみる3。
2 画像検査の概要については、「放射線の画像検査への活用-放射線医療の現状(前編)」篠原拓也(ニッセイ基礎研究所, 基礎研レポート, 2020年7月31日)をご参照いただきたい。
3 なお、PET、ガンマカメラ、マンモグラフィの検査実施数については、OECDデータにないため、見ることができない。
4 放射性同位元素フッ素-18を含む、フルオロデオキシグルコース(FDG)。ブドウ糖に近い化学構造を持つ。
5 テクネチウム-99mなどの放射性同位元素。
3――おわりに (私見)
また、PET、ガンマカメラについては、アメリカやデンマークほどには配備されていない。これらの機器による機能検査を通じて、診断の精度が高まれば、より効果的な治療につなげることが可能となる。そのためにも、検査で体内に放射性物質を入れることの安全性について、患者等に説明していくことが必要となろう。
さらに、マンモグラフィについても、アメリカ、ギリシャ、韓国の後じんを拝する状況にある。現在、日本では、女性のがんのうち、もっとも多いのが乳がんとなっており、マンモグラフィは、その早期発見の切り札といえる。マンモグラフィを活用した乳がん検診の促進が求められよう。
これまで、日本は、診断用の高度医療機器の配備が進んでいる、とされてきた。ただし、直近の状況をみる限り、各国とも配備の充実により医療の質の向上を図っている。日本でも、高度医療機器の配備と検査での活用を通じて、診断精度を高める取り組みを進めていくことが求められる。
引き続き、医療機器の拡充や活用の状況について、見ていくこととしたい。

03-3512-1823
(2022年01月25日「基礎研レター」)
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