2020年07月31日

放射線の画像検査への活用-放射線医療の現状 (前編)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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■要旨

放射線は、現代の医療に欠かせない存在となっている。さまざまな検査法を通じて、身体の中の様子を撮影して、その画像をもとに正確な診断が行われている。また、悪性腫瘍などの病巣に、放射線を照射することにより、適切な治療が行われている。

しかし、放射線医療に対する一般の人の理解は、残念ながらあまり進んでいないものと思われる。

そこで、一般の人が理解を高めることを目指して、本稿(前編)と次稿(後編)の2回に分けて、放射線医療の現状をみていきたい。

本稿と次稿を通じて、読者の放射線医療への興味が高まれば幸いである。

■目次

0――はじめに
1――放射線、放射能とは
  1|一般の人が、放射線の医療への活用について学ぶ機会はほぼない
  2|放射線は、目には見えないが、高いエネルギーを持つ
  3|放射線は、自然環境のなかにも存在する
  4|宇宙線や土壌からの自然放射線は場所によって異なる
  5|一般の人が経験しやすい人工放射線として医療被曝がある
2――医療で活用される放射線
  1|医療で用いられる放射線には、X線、γ線、陽子線などいくつかの種類がある
  2|X線や電子線などは加速器で作られる
  3|α線やγ線などは放射性同位元素から発生する
  4|X線やγ線の遮蔽には密度の高い鉛などが必要となる
  (参考) エネルギーと被曝と放射線障害 ― その関係は、単純ではない
3――放射線による検査と診断
  1|放射線は発見当初から医療に活用されてきた
  2|X線撮影は、撮影対象に応じて、異なるエネルギー水準を用いる
  3|放射線量の単位は、ベクレル (Bq)、 グレイ (Gy)、 シーベルト (Sv) の3つ
  4|放射線医療は、チーム医療として行われる
4――放射線検査の種類
  1|一般撮影はさまざまな部位の検査に使われる
  2|撮影室までの移動が困難な入院患者にはポータブル撮影が行われる
  3|マンモグラフィ検査では、被曝量がある程度多くなる
  4|X線透視検査では、体内を観察しながら撮影する
  5|CT検査で胸部や腹部を撮影するときは、両腕を頭側に挙げる
  6|血管連続撮影検査では、アームの位置や角度を自由に動かして撮影が行われる
  7|核医学検査では、臓器や組織の機能が検査できる
  8|PET検査では、陽電子による放射線が検出される
  9|MRI検査では、水素の原子核の歳差運動の違いを画像化する
  10|超音波検査は、主に軟部組織を対象に用いられる
  11|日本は欧米よりも高度画像診断の設備が充実している
5――放射線防護と安全管理
  1|放射線の防護には、3つの原則がある
  2|放射線を取り扱う医療施設は、放射線障害予防規程を作成する必要がある
  3|外部被曝と内部被曝を低減するための対策が必要
  4|放射線を取り扱う医療施設は放射線管理区域を指定しなくてはならない
  5|放射線発生装置や放射性物質を取り扱う人は放射線業務従事者となる
6――おわりに
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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