2022年01月20日

米住宅着工・許可件数(21年12月)-着工件数、許可件数ともに、前月比で減少を見込んだ市場予想に反して、前月から増加

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工件数、許可件数ともに前月、市場予想を上回る

1月19日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は170.2万件(前月改定値:167.8万件)と167.9万件から小幅下方修正の前月、減少を見込んだ市場予想の165.0万件(Bloomberg集計の中央値)を上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は187.3万件(前月改定値:171.7万件)と、171.2万件から小幅上方修正された前月、市場予想の170.3万件を大幅に上回り、21年1月(188.3万件)以来の水準となった(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数の増加は、10-12月期の住宅投資が3期ぶりのプラス成長を示唆

住宅着工件数の伸びは前月比+1.4%(前月:+8.1%)と3ヵ月連続のプラスとなった(図表3)。内訳をみると、戸建てが▲2.3%(前月:+11.6%)とマイナスに転じた一方、集合住宅が+10.6%(前月:+0.2%)と2桁のプラスとなって全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比では+2.5%(前月:+8.2%)と10ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが▲10.9%(前月:+1.4%)とマイナスに転じたものの、集合住宅が+53.2%(前月:+29.8%)とプラス幅が拡大して全体を押し上げた。

地域別寄与度(前月比)は、南部が▲1.1%ポイント(前月:+7.7%ポイント)、西部が▲3.5%ポイント(前月:+0.6%ポイント)と前月からマイナスに転じた一方、中西部が+4.6%ポイント(前月:▲0.1%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、北東部が+1.4%(前月:横這い)と2ヵ月連続のプラスとなるなど、地域によってマチマチの結果となった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+9.1%(前月:+3.9%)と3ヵ月連続のプラスとなった(図表5)。戸建てが+2.0%(前月:+3.0%)、集合住宅が+21.9%(前月:+6.2%)といずれも3ヵ月連続でプラスとなり、回復が続いていることを示した(図表6)。

前年同月比は+6.5%(前月:+1.2%)と3ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが▲8.5%(前月:▲4.2%)と5ヵ月連続でマイナスと回復が遅れているものの、集合住宅が+41.9%(前月:+12.9%)と2桁の伸びを維持して全体を押し上げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で12月がそれぞれ+22.8%(9月:▲6.5%)、+27.2%(9月:▲5.7%)と、いずれも9月から2桁のプラスに転じた(図表7)。

このため、GDPにおける住宅投資は21年7-9月期の前期比年率▲7.7%から、1月27日に発表される10-12月期は3期ぶりにプラスに転じる可能性が高い。もっとも、住宅市場は建材価格の上昇や労働力不足に加え、住宅ローン金利の上昇などが逆風となっており、回復は長続きしないだろう。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2022年01月20日「経済・金融フラッシュ」)

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