2022年01月19日

ESGファンドをどのように選べば良いか

金融研究部 准主任研究員・ESG推進室兼任   原田 哲志

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1――関心が高まるESG投資

気候変動や人権問題などへの関心の高まりを背景にESG投資の拡大が続いている。一般の投資家においてもESG投資への関心は高まっており、ESGファンドに投資資金が流入している。ESGを考慮した運用を行う「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)」(略称:未来の世界(ESG)、運用会社:アセットマネジメントOne)は設定から投資資金が流入し、2021年12月末時点の純資産総額は1兆1549億円と、国内籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の中で2番目の純資産総額にまで成長している(図表1)。

また、ESG全般を考慮するファンドに加えて、気候変動、自然保護、女性活躍など様々なテーマに着目した投資を行うESGに関連するテーマ型ファンドにも注目が高まっている。

個人投資家が自身で多数の企業のESG取り組みに関する情報を収集し、投資先を選定するのは困難である。しかし、ESGファンドを利用し専門家に運用を委託することで、効率的にESG投資を行うことができるようになる。

ただし、ESGファンドの運用内容は、ファンドごとに異なるため、投資家はその内容について理解しファンドを選択する必要がある。ファンドを活用して効率的なESG投資を行うために、本稿ではESGファンドをどのように選べば良いかについて説明したい。
図表1 国内籍投資信託純資産総額上位10位(2021年12月末時点)

2――ファンドを通じたESG投資

2――ファンドを通じたESG投資

実際に、ESGファンドではどのような手法を用いて投資を行っているのだろうか。ESG投資には様々な手法があるが、持続可能な投資の促進や調査を行う国際組織であるGlobal Sustainable Investment Alliance (GSIA)によれば、ESG投資手法は大きく7つの手法に分けられる(図表2)。

ESGを考慮して組入銘柄を選定する手法として「ポジティブスクリーニング」、「ネガティブスクリーニング」や国連グローバル・コンパクトなどESGに関する規範を満たす企業に投資する「規範に基づくスクリーニング」といった手法がある。「インテグレーション」は、従来の企業の財務情報を主に用いる投資プロセスにESGに基づく評価を加え、投資先を選定する手法である。「テーマ投資」では ESG に関するテーマ(クリーンエネルギー、持続可能な農業など)に関連する投資を行う。

この他、議決権行使などを通じて、投資家が積極的に改善の取り組みを行う「エンゲージメント」や社会的な課題の解決を目的として投資する「インパクト投資」といった投資手法がある。

これらのESG投資手法は様々な観点やアプローチに基づいており、それぞれにメリットとデメリットがある1。このため、これらの手法を適切に組み合わせてポートフォリオの構築を行うことが必要となる。
図表2 代表的なESG投資手法
 
1 ESG投資手法の詳細については下記を参照されたい。
原田 哲志、『ESG投資の実際の手法を学ぼう~代表的なESG投資手法とその特徴』、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート、2021年6月24日

3――ESGファンドの選び方

3――ESGファンドの選び方

では、様々なESG投資手法が存在する中でどのようにESGファンドを選べば良いのだろうか。一般的に、ファンドに関しては目論見書や月次レポートといった資料から、その運用内容について知ることができる。

ファンドについて比較・検討する上で重要な点として、(1)目論見書に記載されている運用内容、(2)月次レポートに記載されている運用実績、(3)競合するファンドとのコスト・パフォーマンスの比較が挙げられる。
図表3 ESGファンド選定の流れ
目論見書では、投資対象地域やコスト(信託報酬)などファンドの基本的な性質に加えて、どのような手法によってESGをポートフォリオ構築において考慮するかについて知ることができる。

月次レポートでは、実際の投資先企業や過去の投資実績について確認できる。また、組入上位銘柄とその選定理由を確認できる。目論見書に記載されているESGを考慮した投資が実際に行われているか確認することが望ましい。また、競合ファンドとパフォーマンスやコストを比較することで、これらの相対的な優劣について確認できる。

前述のアセットマネジメントOneの「未来の世界(ESG)」の目論見書を見ると、同ファンドでは、ギャンブル、武器の製造など環境・社会に望ましくない業種を投資対象から除く(ネガティブスクリーニング)のに加えて、個別企業について独自のESG評価を行い組入比率を調整する(インテグレーション)ことで、ポートフォリオ構築を行うことが分かる。

2021年11月末時点の月次レポートを見ると、組入銘柄数は23銘柄と銘柄数を絞った集中投資を行っていることや、情報技術セクターのウェイトが46%と多いことが分かる。

また、過去1年間のパフォーマンスを競合ファンドと比較すると、この期間においてはパフォーマンスは劣後していた(図表4,5)。これは組み入れていたアマゾン・ドット・コム(組入比率8.7%)などテック関連銘柄が米国株式市場の中では比較的低調なパフォーマンスにとどまったことなどが要因となっている。但し、同ファンドが設定されたのは2020年7月20日であり、現状では運用期間はやや短い。ファンドのパフォーマンスは相場環境などの影響を受けるため、もう少し長い期間で見ていく必要がある。

このような方法で目論見書、月次レポートといった情報から自身の投資方針に適したファンドを選定することができる。
図表4 主要なESGファンド
図表5 主要なESGファンドのパフォーマンス比較(2020年12月末~2021年12月末)

4――おわりに

4――おわりに

本稿では、ESGファンドの選び方について説明した。個人が多くの企業のESGに関する情報を収集・判断するのは難しいが、ESGファンドを用いることで効率的にESG投資を行える。ただし、ESGファンドに投資を行う上では、その運用内容について吟味した上で、自身の投資方針に合ったファンドを選びたい。目論見書や月次レポートといった資料から、どのようにESGを考慮し運用を行うか、実際に投資方針に従った運用が行われているかについて確認することが必要である。ファンドを通じたESG投資の今後のさらなる普及に期待したい。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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金融研究部   准主任研究員・ESG推進室兼任

原田 哲志 (はらだ さとし)

研究・専門分野
資産運用、オルタナティブ投資

(2022年01月19日「基礎研レター」)

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【ESGファンドをどのように選べば良いか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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