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景気ウォッチャー調査(21年12月)~現状判断DIはわずかに改善も、新変異株への懸念から先行きは大幅に下落
山下 大輔
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1.現状判断DIはわずかに上昇、先行き判断DIは大きく下落
ただし、新変異株をはじめとする感染再拡大への懸念から、先行き判断DIは50を割り込み、先行きの見通しは全体として悪化に転じた。現在、新変異株を含む新型コロナウイルス感染症の感染者数の急激な増加がみられており、今後の推移次第ではあるが、1月調査(調査期間:1月25日~月末)では景況感は悪化に転じるだろう。
2.景気の現状判断DI:高額品の好調な売り上げなどで、小売関連は上昇
回答者のコメントからは、小売関連について、クリスマス商戦などで高額品の売り上げが好調であったようだ。他方で、飲食関連やサービス関連について、新変異株への懸念の高まりが影響したようだ。ただし、小売関連、飲食関連、サービス関連はいずれもDIが50を超えており、改善は継続している。また、企業動向関連の低下については、半導体不足や原材料の価格高騰などが主な要因とみられる。他方、回答者のコメントからは、原油価格高騰への懸念が伺われる。雇用関連は50を大幅に上回っている。
- 外出自粛ムードだった前年から一転し、店頭ではにぎわいが戻っている。特に高額品の売行きが好調で、全体をけん引している。18日からと26日からの最強寒波による積雪で来客数が落ち込んだため売上は失速したが、月全体では前年超えの見込みである。(北陸・百貨店)
- クリスマス商戦でケーキやチキンがよく売れた。クリスマスが終わってからも、帰省をするのか家族での来店が多くみられ、年末まで忙しくおにぎりや店内手作り弁当がよく売れた。(東海・コンビニ)
- 時節柄、月曜日から木曜日はふだんどおりだが、金曜日、土曜日に人が出ており、特に当店では高額品が売れ、客単価が上がっている。また、近所の飲食店には列ができており、久しぶりに繁盛している状況が分かる。特に旅行客が多くなっている。(東北・一般小売店)
<半導体不足の状況に関する回答者の主なコメント>
- 半導体不足や海外からの輸入部材、建材の遅れに伴い、工事期間の延長などが発生し始めてきた。(東北・設計事務所)
- 経済は動き始めたが、輸入が入らず仕事がない会社が出てきている。半導体などの部品がないこと、ウッドショックも原因の一つである。(南関東・求人情報誌製作会社)
なお、現状判断に関する回答者コメントの傾向を把握する観点から作成した共起ネットワーク1は以下の通りとなった。
1 KH Coderにより作成。複合語等の調整を実施。
3.景気の先行き判断DI:新変異株への懸念から2か月連続低下、50割れ
<新変異株に関する回答者の主なコメント>
- 新型コロナウイルス対策としての景気浮揚策の効果も期待できるが、新型コロナウイルス新変異株や感染の第6波などへの不安要素の方が強く感じられるため、今後の景気はやや悪くなる(北海道・スーパー)
- 年末年始の宿泊予約が伸び悩んでいる。新型コロナウイルス新変異株による感染の再拡大及び燃料や食料品等の値上げにより、外食や旅行などの余暇に対する消費の抑制を懸念している(北陸・都市型ホテル)
<原油価格上昇や物価上昇への懸念を指摘する回答者の主なコメント>
- 原油価格の高止まりにより、当面は高い販売価格のまま推移する。それにより現状の節約志向はまだまだ続くとみられることから、販売量の回復は見込めない(東北・その他専門店[ガソリンスタンド])
- 市場マインドは上向きつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響及び世界的な電子部品供給不足等による部品調達の遅滞や原材料価格の高騰等、不確定な要素が多く懸念される(四国・一般機械器具製造業)
なお、先行き判断に関する回答者コメントの傾向を把握する観点から作成した共起ネットワーク2は以下の通りとなった。
2 KH Coderにより作成。複合語等の調整を実施。
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(2022年01月12日「経済・金融フラッシュ」)
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