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- 景気ウォッチャー調査(21年11月)~景況感は引き続き改善傾向も、新変異株への懸念広がる
2021年12月08日
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1.感染状況の落ち着きから現状は上昇も、新変異株への懸念から先行きは低下

現状判断DIの内訳をみると、家計動向関連は56.5(前月差0.2ポイント)、企業動向関連は54.5(同3.3ポイント)、雇用関連は59.0(同▲0.7ポイント)であった。
家計動向関連は、全体としては前月から小幅増であるが、その内訳では、飲食関連は前月から3.1ポイント増の68.2と景況感の大幅な改善が更に勢いを増している。現状水準判断DIでみても2018年11月以来の50超えとなり、飲食の好調さが伺える。
また、企業動向関連の上昇は3か月連続となり、半導体不足が解消に向かいつつあることへの好感が主な要因とみられる。他方、回答者のコメントからは、原油価格高騰への懸念が伺われる。雇用関連は前月から低下したが、50を大幅に上回っており、景況感は改善が続いている。
家計動向関連は、全体としては前月から小幅増であるが、その内訳では、飲食関連は前月から3.1ポイント増の68.2と景況感の大幅な改善が更に勢いを増している。現状水準判断DIでみても2018年11月以来の50超えとなり、飲食の好調さが伺える。
また、企業動向関連の上昇は3か月連続となり、半導体不足が解消に向かいつつあることへの好感が主な要因とみられる。他方、回答者のコメントからは、原油価格高騰への懸念が伺われる。雇用関連は前月から低下したが、50を大幅に上回っており、景況感は改善が続いている。
<飲食の好調さに関連した回答者のコメント>
<半導体不足の状況に関する回答者の主なコメント>
<原油価格高騰に関する回答者の主なコメント>
- 「緊急事態宣言が解除された直後は閑散としていたが、新型コロナウイルスの感染第6波も懸念されるなか、客足は徐々に増えてきている。客単価もどちらかといえば、やや高めで推移している。予約客が増えてきた一方で、立ち寄り客も多い。徐々に元の生活に戻ってきたという期待が感じられる」(近畿・一般レストラン(経営者))
- 「今まで自粛していた客が、徐々に店に戻ってきている。企業の自粛要請も少し緩んでいるようで、複数名の予約が入るようになってきている(東京都)」(南関東・一般レストラン(経営者))
- 「ワクチン接種率の向上に伴って新型コロナウイルスの新規感染者数が劇的に減少していることで、これまで外食を控えていた人が少しずつ外出するようになり、週末の来客数が増加している。また、夜間の営業を再開したこともプラスとなっている。景気が好転する兆しがみられ始めている」(北海道・高級レストラン(スタッフ))
<半導体不足の状況に関する回答者の主なコメント>
- 「半導体不足の影響も少し緩和され、稼働が上がったようで受注量も若干上向いてきている。原油等の値上げも懸念材料としてあるが、このままの回復を期待している」(北関東・化学工業(経営者))
- 「半導体不足や東南アジアからの部品の調達の停滞が落ち着き始めたため、客からの受注は最悪期を脱している」(中国・輸送用機械器具製造業(経営企画担当))
<原油価格高騰に関する回答者の主なコメント>
- 「原油高も含め、仕入れコストが上昇しており、販売価格の値上げを進めているが、思うように価格に転嫁できない状況にあるため、景気は横ばい状態が続いている」(中国・木材木製品製造業(経理担当))
- 「コロナ禍は収まりつつあるが、原油相場の高騰による影響で、国内の物価上昇が心配である」(近畿・その他専門店[宝石](経営者))
- 「原油価格の高騰やふだん消費する食品の値上げが相次いでいることから、家計の節約志向がみられ、消費が鈍っている」(北海道・コンビニ(エリア担当))
3.景気の先行き判断DI:引き続き50超えも4か月ぶりに低下
回答者のコメントからは、新変異株を警戒する声が多く見られるものの、Go Toキャンペーンを含む経済対策への期待の声が聞かれた。他方で、原油価格上昇や物価上昇の懸念を指摘する声もあった。
<新変異株に関する回答者の主なコメント>
<Go To キャンペーンなどの経済対策に関する回答者の主なコメント>
<原油価格上昇や物価上昇への懸念を指摘する回答者の主なコメント>
<新変異株に関する回答者の主なコメント>
- 「新型コロナウイルスの感染者数が少ないまま落ち着いているので、このままいってくれれば良くなる。ただし、新変異株が出てきており、その動向がどうなるか非常に心配である(東京都)」(南関東・タクシー運転手)
- 「新型コロナウイルスの新変異株に対しての国の対策は今回は相当早かったので、今までのような大感染が起こることはないとは思うが、一人一人の感染に対する心構えがしっかりとしているため、まだまだ繁華街の夜の飲食のにぎやかさは戻らない。良くて現状と同程度とみている」(東北・一般レストラン(経営者))
<Go To キャンペーンなどの経済対策に関する回答者の主なコメント>
- 「Go Toキャンペーンの内容が発表され、具体的に旅行を計画する客も増加している。新型コロナウイルス変異株や感染第6波の影響が懸念されるものの、感染防止も日常となり、徐々に人との交流を考え始める客も増えているため、やや良くなると予想している」(近畿・旅行代理店(支店長))
- 「海外からの入国規制で、安心した場の提供ができる。また、Go Toキャンペーン等の経済政策で、役所を含む企業内の規制緩和が功を奏すと思われる」(北関東・一般レストラン[居酒屋](経営者))
- 「前回の特別定額給付金のときほど特需にはならないが、今回も給付金効果が間違いなくある。ただ、飽くまで一時的なものであり、数か月すれば落ち着いていく」(九州・家電量販店(店長)「海外からの入国規制で、安心した場の提供ができる。また、Go Toキャンペーン等の経済政策で、役所を含む企業内の規制緩和が功を奏すと思われる」(北関東・一般レストラン[居酒屋](経営者))
<原油価格上昇や物価上昇への懸念を指摘する回答者の主なコメント>
- 「例年であれば良くなる傾向となるが、年始以降は物価の上昇が予想されているため、余り変わらない。新型コロナウイルス新変異株が出てきているため、仮に緊急事態宣言が発出された場合は厳しくなる」(近畿・競輪場(職員))
- 「原油価格の高騰、円安の悪影響、新型コロナウイルス新変異株等の懸念材料が、来月辺りから購買意欲に水を差しそうである。対面販売の化粧品等の長期的な不調はいまだ続きそうで、起爆剤に欠ける展開になりそうである」(東海・スーパー(販売担当))
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(2021年12月08日「経済・金融フラッシュ」)
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