コラム
2022年01月07日

昨年のJリート市場は16%上昇。海外投資家の買いが上昇を牽引~株式や米国リート対比では、なお出遅れ感も~

金融研究部 不動産調査室長   岩佐 浩人

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2021年のJリート(不動産投資信託)市場を振り返ると、市場全体の値動きを表わす東証REIT指数(配当除き)は+15.8%上昇し、国内株式の上昇率(+10.4%)を2年ぶりに上回った(図表1)。年明け以降、NAV倍率で1倍を下回る割安感や株式市場に対する出遅れ感を背景に海外投資家の買いが市場の回復を牽引し1、7月まで上昇基調が継続した。その後は米国金利の上昇懸念などから頭打ちとなったものの東証REIT指数は節目となる2,000ポイント台を維持して1年を終えた。また、配当込み指数は2020年2月に付けた高値を一時上回り、8/30には史上最高値を更新した2
図表1:東証REIT指数とTOPIXの推移(2020年12月末=100)
続いて、市場規模をみると、上場銘柄数は61社(▲1社)に減少したものの3、市場時価総額は17.0兆円(前年比+18%)に拡大し、運用資産額(取得額ベース)も21.2兆円(前年比+5%)となり過去最高を更新した(図表2)。また、Jリートによる物件取得額は1.6兆円(前年比+15%)で前年を大きく上回った。アセットタイプ別では、スポンサーからの物件拠出の増加したオフィスビルの占率(46%)が最大となり、次いで物流施設(24%)、住宅(13%)、商業施設(11%)、底地ほか(6%)、ホテル(1%)の順に多かった。デット資金の調達環境も良好で、投資法人債の発行額は1,565億円(平均期間9.8年、平均利率0.50%)となり引き続き長期資金を低利で調達できている。

一方、業績面では、オフィス市場を中心に不動産賃貸市況の調整局面が継続するなか、市場全体の予想1口当たり分配金はほぼ横ばい(前年比+1%)で推移し、1口当たりNAV(Net Asset Value、解散価値)の成長率も+3%にとどまった。この結果、12月末時点のバリュエーションは、分配金利回りが3.5%、10年国債利回りに対するイールドスプレッドが3.4%、NAV倍率が1.1倍となった。
図表2:2021年のJリート市場(まとめ)
このように、Jリート市場はコロナ禍前の価格を回復し、ファンダメンタルズからみても概ね適正水準にあるなか、今後については米国の金融政策が最大のリスク要因として注目が集まる。米FRBはインフレ率の高止まりを背景に昨年からスタートしたテーパリング(量的緩和縮小)を早期に完了し利上げ時期を早める可能性がある。11月の中間選挙への対応を含めて経済・金融の不透明感が強まり現在の過剰流動性相場が一巡してしまうと、Jリート市場への影響も不可避となろう。一方、昨年のJリート市場は順調な回復を見せたとは言え、コロナ禍以前の株式市場や米国リート市場の水準と比較した場合、その回復に遅れが目立つ(図表3)。足もとの円安進行を踏まえると、海外投資家からみたJリート市場の出遅れ感はさらに高まっていると考えられる。したがって、当面は現行水準での足場固めを意識した展開が予想されるものの、海外資金の動向次第では一定の上値余地も期待できそうだ。
図表3:日米の株式市場とリート市場の騰落率(対2020年末、対2019年末)
 
1 外国人投資家の買い越し額(2021年1月~11月の累計)は2,531億円となり、2020年の410億円から大幅に増加した。
2 配当を含めた総合収益率は+20.0%となった。
3 東海道リート投資法人(6月)が新規上場した一方で、MCUBS MidCity投資法人(2月)とインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(11月)が上場廃止となった。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

(2022年01月07日「研究員の眼」)

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