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- 昨年のJリート市場は16%上昇。海外投資家の買いが上昇を牽引~株式や米国リート対比では、なお出遅れ感も~
コラム
2022年01月07日
続いて、市場規模をみると、上場銘柄数は61社(▲1社)に減少したものの3、市場時価総額は17.0兆円(前年比+18%)に拡大し、運用資産額(取得額ベース)も21.2兆円(前年比+5%)となり過去最高を更新した(図表2)。また、Jリートによる物件取得額は1.6兆円(前年比+15%)で前年を大きく上回った。アセットタイプ別では、スポンサーからの物件拠出の増加したオフィスビルの占率(46%)が最大となり、次いで物流施設(24%)、住宅(13%)、商業施設(11%)、底地ほか(6%)、ホテル(1%)の順に多かった。デット資金の調達環境も良好で、投資法人債の発行額は1,565億円(平均期間9.8年、平均利率0.50%)となり引き続き長期資金を低利で調達できている。
一方、業績面では、オフィス市場を中心に不動産賃貸市況の調整局面が継続するなか、市場全体の予想1口当たり分配金はほぼ横ばい(前年比+1%)で推移し、1口当たりNAV(Net Asset Value、解散価値)の成長率も+3%にとどまった。この結果、12月末時点のバリュエーションは、分配金利回りが3.5%、10年国債利回りに対するイールドスプレッドが3.4%、NAV倍率が1.1倍となった。
一方、業績面では、オフィス市場を中心に不動産賃貸市況の調整局面が継続するなか、市場全体の予想1口当たり分配金はほぼ横ばい(前年比+1%)で推移し、1口当たりNAV(Net Asset Value、解散価値)の成長率も+3%にとどまった。この結果、12月末時点のバリュエーションは、分配金利回りが3.5%、10年国債利回りに対するイールドスプレッドが3.4%、NAV倍率が1.1倍となった。
このように、Jリート市場はコロナ禍前の価格を回復し、ファンダメンタルズからみても概ね適正水準にあるなか、今後については米国の金融政策が最大のリスク要因として注目が集まる。米FRBはインフレ率の高止まりを背景に昨年からスタートしたテーパリング(量的緩和縮小)を早期に完了し利上げ時期を早める可能性がある。11月の中間選挙への対応を含めて経済・金融の不透明感が強まり現在の過剰流動性相場が一巡してしまうと、Jリート市場への影響も不可避となろう。一方、昨年のJリート市場は順調な回復を見せたとは言え、コロナ禍以前の株式市場や米国リート市場の水準と比較した場合、その回復に遅れが目立つ(図表3)。足もとの円安進行を踏まえると、海外投資家からみたJリート市場の出遅れ感はさらに高まっていると考えられる。したがって、当面は現行水準での足場固めを意識した展開が予想されるものの、海外資金の動向次第では一定の上値余地も期待できそうだ。
1 外国人投資家の買い越し額(2021年1月~11月の累計)は2,531億円となり、2020年の410億円から大幅に増加した。
2 配当を含めた総合収益率は+20.0%となった。
3 東海道リート投資法人(6月)が新規上場した一方で、MCUBS MidCity投資法人(2月)とインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(11月)が上場廃止となった。
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経歴
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
(2022年01月07日「研究員の眼」)
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