2021年11月12日

子育て世帯の給付金の使い道-更なる10万円給付、子どものための消費か貯蓄か

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • ニッセイ基礎研究所が昨年、「特別定額給付金」の使途を調査した結果では、子育て世帯では「生活費の補填」(58.5%)、「貯蓄」(33.4%)、「育児や保育関連」(17.9%)、「子どもの教育」(11.2%)が上位にあがる。「貯蓄」のみを選択した(全額を「貯蓄」した)割合は11.0%で、約9割は少額なものも含めて何らかの消費をしているが(当調査では金額は不明)、家計簿アプリ利用者を対象にした研究によれば、給付金の7割以上は貯蓄にとどまっている。
     
  • 子育て世帯について世帯年収別に見ると、いずれの世帯でも最多は「生活費の補填」で、世帯年収1,000万円未満では次いで「貯蓄」が続くほか、「子どもの教育」や「育児や保育関連」など子ども関連の支出が多くあがる。一方、世帯年収600万円以上では上位5位までに「国内旅行」があがる。
     
  • 子育て世帯についてライフステージ(子どもの年齢)と世帯年収を合わせて見ると、いずれも圧倒的に「生活費の補填」が多いほか、「貯蓄」や「子どもの教育」が上位にあがるが、低所得世帯が比較的多い子どもの年齢の低い世帯ほど生活必需性の高い項目が、高所得世帯が比較的多い子どもの年齢の高い世帯ほど「国内旅行」や「外食」など生活必需性の低い項目の選択割合が高い傾向がある。
     
  • 今回の給付金は「特別定額給付金」の多くが貯蓄へ充てられたことを背景に、現金とクーポンを合わせた形が予定されており、クーポンによって子ども関連用品などの消費が誘発され、現金は生活費の補填のほか、感染者数が抑えられた状況が続けば旅行等のレジャーにも費やされることで、貯蓄にとどまる金額は限られると見られる。
     
  • 一方で「特別定額給付金」を貯蓄へ充てた行動は合理的とも言える。低成長下で少子高齢化が進む中、若い世代ほど将来の経済不安が強い。先の衆院選では各党の公約に子育て世帯などへの給付が目についたが、多くの子育て世帯では財源と合わせた議論無くしては子ども達の将来への負担の先送りになるということに気づき始めている。
     
  • 子育て世帯が真に望んでいるのは目先の単発の給付ではなく、希望する形で中長期的に仕事と家庭を両立しながら働き続けられる環境ではないか。将来を担う世代が安定的な経済基盤を持つことは真に効果のある経済対策と言える。「働き方を変えていく」という、これまでの議論を深めるような政策が進むことにも期待をしたい。


■目次

1――はじめに
 ~18歳以下の子どもへの新たな10万円給付、子育て世帯の昨年の給付金の使途は?
2――「特別定額給付金」の使い道
 ~子育て世帯は生活費や貯蓄など。低所得世帯ほど必需性の高いもの
  1|全体及びライフステージ別の状況
   ~子育て世帯は生活費や貯蓄のほか、育児・保育関連、教育費
  2|貯蓄選択者の状況
   ~全て貯蓄は約1割、約9割は少額でも消費も(ただし金額的には7割以上が貯蓄)
  3|子育て世帯の世帯年収別の状況
   ~いずれも生活費の補填が多いが低所得世帯ほど必需性の高いもの
3――おわりに~子育て世帯が真に望んでいることは?
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

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