2021年10月29日

鉱工業生産21年9月-供給制約の影響で5四半期ぶりの減産

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.7-9月期は5四半期ぶりの減産

経済産業省が10月29日に公表した鉱工業指数によると、21年9月の鉱工業生産指数は前月比▲5.4%(8月:同▲3.6%)と3ヵ月連続で低下し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲3.3%、当社予想は同▲3.8%)を下回る結果となった。出荷指数は前月比▲6.2%と3ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比3.7%と3ヵ月ぶりの上昇となった。

9月の生産を業種別に見ると、世界的な半導体不足と東南アジアからの部品調達難の影響で自動車が前月比▲28.2%となり、8月の同▲15.2%から低下幅が大きく拡大したほか、堅調な推移が続いていた生産用機械(前月比▲3.4%)、電子部品・デバイス(同▲4.1%)も前月比でマイナスとなった。

21年7-9月期の生産は前期比▲3.7%(4-6月期:同1.1%)と5四半期ぶりの減産となった。業種別には、半導体不足などの供給制約の影響で自動車が前期比▲15.9%と3四半期連続の減産となり、4-6月期の同▲4.9%から減産幅が急拡大したほか、自動車産業の影響を受けやすい非鉄金属が同▲1.9%(4-6月期:同▲0.4%)と2四半期連続の減産となった。一方、内外の設備投資の回復を受けて、生産用機械が前期比2.6%と堅調を維持し、デジタル関連需要の強さを背景に、電子部品・デバイスが前期比0.2%(7-9月期:同5.1%)と小幅ながら5四半期連続で上昇した。
鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移/鉱工業生産の業種別寄与度
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は21年4-6月期の前期比9.9%の後、7-9月は同▲2.5%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は21年4-6月期の前期比4.2%の後、7-9月期は同▲1.3%となった。

GDP統計の設備投資は21年1-3月期に前期比▲1.3%の減少となった後、4-6月期は同2.3%の増加となった。企業収益の改善を背景に設備投資は基調としては持ち直しの動きが続いているが、7-9月期は大きく減速したとみられる。

消費財出荷指数は21年4-6月期の前期比▲2.9%の後、7-9月期は同▲7.4%となった。自動車の急激な落ち込みを反映し、耐久消費財が前期比▲18.7%の急低下となった(非耐久消費財は同▲1.9%)。
財別の出荷動向 GDP統計の民間消費は21年1-3月期に前期比▲1.3%の減少となった後、4-6月期は同0.9%の増加となったが、均してみれば低水準で横ばい圏の動きが続いている。緊急事態宣言の影響で外食、旅行などの対面型サービス消費の低迷が続いていることに加え、巣ごもり需要の一巡や自動車減産の影響などから財消費も弱い動きとなっている。21年7-9月期の民間消費は2四半期ぶりの減少となる可能性が高い。

2.生産は下振れリスクの高い状態が続く

製造工業生産予測指数は、21年10月が前月比6.4%、11月が同5.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(9月)、予測修正率(10月)はそれぞれ▲3.7%、▲4.0%であった。

予測指数を業種別にみると、7月からの3ヵ月で4割近く落ち込んだ輸送機械は、10月が前月比17.9%、11月が同35.0%の大幅増産計画となっている。ただし、9月の実現率が▲16.5%、10月の予測修正率が▲15.0%といずれも大幅なマイナスとなっていること、今回の予測調査は10/10時点で調査されており、その後大手自動車メーカーから11月の生産計画の下方修正が発表されていることを踏まえると、実際の生産は大きく下振れる可能性が高い。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
21年9月の生産指数を10、11月の予測指数で先延ばしすると、10、11月の平均は7-9月期を4.1%上回るが、自動車を中心に下振れることは確実とみられる。

国内需要が低迷する中でも、輸出の増加を背景に鉱工業生産は回復を続けてきたが、供給制約に伴う自動車生産の急速な落ち込みを主因としてここにきて弱い動きとなっている。現時点では、世界的な設備投資需要の回復やデジタル関連需要の強さを背景に、生産用機械、電子部品・デバイスなどが堅調を維持することにより、鉱工業生産は年末までに底打ちすると予想しているが、当面は自動車を中心に下振れリスクの高い状態が続くことが見込まれる。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年10月29日「経済・金融フラッシュ」)

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