2021年10月13日

コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1)-属性別のテレワーク頻度の変化:企業の規模/産業分類別

保険研究部 准主任研究員 岩﨑 敬子

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1――はじめに

コロナ禍で在宅勤務を含め、テレワークが広がりを見せた。しかし、その拡大状況は、業種や企業規模、その他の様々な属性によって異なるだろう。コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人なのか。本稿から5回にわたる基礎研レターでは、ニッセイ基礎研究所の独自調査から、コロナ禍のテレワークの頻度の変化を、様々な属性別に確認した結果を紹介する。

本稿では、その1回目として、ニッセイ基礎研究所が行った調査の概要と、テレワーク頻度の変化の全体の傾向を紹介した後、企業の規模及び産業分類別のテレワーク頻度の変化について確認した結果を紹介する。

2――調査概要

2――調査概要

本稿を含めて「コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1) ~ (5)」として、今後全5回の基礎研レターにわたって紹介する確認結果は、ニッセイ基礎研究所が2021年の2~3月に行った独自のWEB アンケート調査のデータに基づくものである1。アンケート調査の回答は、全国の 18~64 歳の被用者(公務員もしくは会社に雇用されている人)の男女を対象に、全国 10 地区、性別、年齢階層別(10 歳ごと)の分布を、 2015 年の国勢調査の分布に合わせて収集した。2021年に実施した調査の回答の回収期間は、2021年2月27日~2021年3月25日で、回答件数は 5,808 件である。

このアンケート調査では、2021年2月時点及び2020年2月時点でのテレワーク頻度を尋ねている。この質問を用いて、2020年2月~2021年2月の間のテレワーク頻度の変化を、様々な属性別に、確認していく。
 
1 「2021年被用者の働き方と健康に関する調査」

3――回答者全体のコロナ禍のテレワーク頻度の変化

3――回答者全体のコロナ禍のテレワーク頻度の変化

まず、回答者全体のコロナ禍のテレワークの頻度の変化を示したのが図1である。2020年の2月時点では、月1回以上のテレワークを実施していた人の割合は約16%だったが、2021年の2月時点では、約30%となり、回答者全体では、コロナ禍でテレワークが広がったことが確認できる。
図1. 回答者全体のテレワーク頻度の変化

4――企業の規模別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化

4――企業の規模別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化

では、勤めている企業の規模別に見るとどうだろうか。勤めている企業の従業員数別のテレワークの頻度の変化を示したのが、図2である。2020年2月時点では、従業員数が100人未満の企業に勤めている人の中で、月1日以上のテレワークを行っている人の割合は約10%、従業員数が100人~999人の企業に勤めている人の間では、14%、従業員数が1000人以上の企業に勤めている人の間では、20%と、従業員数の多い企業に勤めている人ほど、テレワークを行っていた傾向がみられる。そして、その傾向は2021年にはさらに強くなっているようだ。2021年2月の時点で、従業員数が100人未満の企業に勤めている人で、月1回以上の在宅勤務を行っている人は約18%、100人~999人では約29%、1000人以上では、約43%であった。
図2. 企業の規模別のテレワークの頻度の分布

5――産業分野別の規模別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化

5――産業分野別の規模別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化

次に、勤めている企業の産業分野別にテレワークの頻度を示したのが、図3である。2021年2月時点で、月1日以上のテレワークを行っている人の割合が最も大きいのは、情報通信分野の企業に勤めている人で、約58%であった。情報通信分野の企業に勤めている人の間では、毎日テレワークを行っている人の割合も大きく、約24%であった。情報通信分野の次に、月1日以上のテレワークを行っている人の割合が大きいのは、金融/不動産/学術研究・専門サービス分野で、約41%であった。

一方、2021年2月の時点で、月1日以上のテレワークを行っている人の割合が最も小さいのは、教育/医療分野で約12%。教育/医療分野の次に小さいのは、宿泊/飲食/娯楽分野で、約15%であった。
図3. 産業分野別のテレワーク実施割合

6――おわりに

6――おわりに

本稿では、ニッセイ基礎研究所の調査結果を用いて、企業の規模及び産業分類別に、2020年2月から2021年2月の間の、テレワークの拡大状況の違いを確認した。企業の規模については、勤めている企業の規模が大きいと、テレワークを行う頻度が多い傾向が見られた。また、産業分野別に確認すると、月1日以上のテレワークを行っている人の割合が最も大きい情報通信分野では、約58%である一方、最も小さい教育/医療分野では約12%と、テレワークの拡大状況は、産業分野によって大きな違いがあることが確認された。
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保険研究部   准主任研究員

岩﨑 敬子 (いわさき けいこ)

研究・専門分野
応用ミクロ計量経済学・行動経済学 

(2021年10月13日「基礎研レター」)

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レポート紹介

【コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1)-属性別のテレワーク頻度の変化:企業の規模/産業分類別】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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