- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 雇用・人事管理 >
- なぜテレワークは日本で普及しなかったのか?-経済、働き方、消費への影響と今後の課題-
なぜテレワークは日本で普及しなかったのか?-経済、働き方、消費への影響と今後の課題-
 
                                                生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために政府により緊急事態宣言が発令されて以降日本企業にテレワークが少しずつ導入されはじめている。
 
- 今まで、日本でテレワークが普及しなかった理由としては、1)メンバーシップ型雇用が主流、2)ハンコや紙書類中心の企業文化の残存、3)セキュリティに対する不安と財政負担の増加、4)設備や機器の不足、5)テレワークに適していない業務の存在などが挙げられる。
 
- テレワークの経済効果:ワーク・ライフ・バランスが実現しやすくなることにより女性の労働市場参加が増加すると共に高齢者がより長く労働市場に滞在することも可能になる。→ 少子化に歯止めをかける効果や労働力不足問題を解消する効果が期待される。
 
- テレワークの普及は、日本の「メンバーシップ型雇用」を、個人の仕事と責任の範囲が明確になる「ジョブ型雇用」に変える要因にもなりえる。そうなると、現在、政府が働き方改革の一環として実施している「同一労働同一賃金」がより実現しやすくなり、非正規労働者の処遇水準は今より改善されると予想される。
 
- 消費への影響:自宅でより楽に仕事をしたり過ごすための消費は増え、外食よりはフードデリバリーや中食、そして内食の割合が増加。自宅でより楽に仕事をしたり過ごすための消費は増え、外食よりはフードデリバリーや中食、そして内食の割合が増加する。また、NetflixやU-NEXTのようなサブスクリプションを利用して映画などを鑑賞しようとする傾向が強くなる。
 
- 今後テレワークをより普及させるためには、1)業務の電子化の推進、2)通信環境を改善するためのインフラの整備と社員の出費増加に対する支援制度の拡充、3)セキュリティ対策の徹底と、人を信じる企業風土の構築、4)評価システムの整備と評価者に対する教育の徹底、5)長時間労働防止対策の実施、6)中小企業に対する支援拡大や雇用形態による働き方の格差の解消などを推奨・実施する必要がある。
■目次
1――テレワークや在宅勤務の現状
2――なぜ今までテレワークは普及しなかったのか?
1) メンバーシップ型雇用が主流
2) ハンコや紙書類中心の企業文化の残存
3) セキュリティに対する不安と財政負担の増加
4) 設備や機器の不足
5) テレワークに適していない業務の存在
3――テレワークで変わる経済、働き方、消費
4――今後の課題
1) 業務の電子化の推進
2) 通信環境を改善するためのインフラの整備と社員の出費増加に対する支援制度の拡充
3) セキュリティ対策の徹底と、人を信じる企業風土の構築
4) 評価システムの整備と評価者に対する教育の徹底
5) 長時間労働防止対策の実施
6) 中小企業に対する支援拡大や雇用形態による働き方の格差の解消
(2020年07月13日「基礎研レポート」)
このレポートの関連カテゴリ
 
                                        生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任
金 明中 (きむ みょんじゅん)
                                研究・専門分野
                                高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計
                            
03-3512-1825
- プロフィール
 【職歴】
 独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職
 ・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
 ・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
 ・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
 ・2021年~ 専修大学非常勤講師
 ・2021年~ 日本大学非常勤講師
 ・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
 ・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
 ・2019年 労働政策研究会議準備委員会準備委員
 東アジア経済経営学会理事
 ・2021年 第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員
 【加入団体等】
 ・日本経済学会
 ・日本労務学会
 ・社会政策学会
 ・日本労使関係研究協会
 ・東アジア経済経営学会
 ・現代韓国朝鮮学会
 ・博士(慶應義塾大学、商学)
金 明中のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2025/07/08 | 「静かな退職」と「カタツムリ女子」の台頭-ハッスルカルチャーからの脱却と新しい働き方のかたち | 金 明中 | 基礎研マンスリー | 
| 2025/06/06 | “サヨナラ”もプロに任せる時代-急増する退職代行サービス利用の背景とは? | 金 明中 | 基礎研マンスリー | 
| 2025/06/02 | 日韓カップルの増加は少子化に歯止めをかけるか? | 金 明中 | 研究員の眼 | 
| 2025/05/22 | 【アジア・新興国】韓国の生命保険市場の現状-2023年のデータを中心に- | 金 明中 | 保険・年金フォーカス | 
新着記事
- 
                2025年10月30日 
 試練の5年に踏み出す中国(後編)-「第15次五カ年計画」建議にみる、中国のこれからの針路
- 
                2025年10月30日 
 潜在成長率は変えられる-日本経済の本当の可能性
- 
                2025年10月30日 
 米国で進む中間期の選挙区割り変更-26年の中間選挙を見据え、与野党の攻防が激化
- 
                2025年10月29日 
 生活習慣病リスクを高める飲酒の現状と改善に向けた対策~男女の飲酒習慣の違いに着目して
- 
                2025年10月29日 
 地域イベントの現実と課題-渋谷のハロウィンをイベントとして運営できるか-
レポート紹介
- 
                研究領域 - 
                        経済 
- 
                        金融・為替 
- 
                        資産運用・資産形成 
- 
                        年金 
- 
                        社会保障制度 
- 
                        保険 
- 
                        不動産 
- 
                        経営・ビジネス 
- 
                        暮らし 
- 
                        ジェロントロジー(高齢社会総合研究) 
- 
                        医療・介護・健康・ヘルスケア 
- 
                        政策提言 
 
- 
                        
- 
                注目テーマ・キーワード 
- 
                統計・指標・重要イベント 
- 
                媒体 
- アクセスランキング
お知らせ
- 
                        2025年07月01日 News Release 
- 
                        2025年06月06日 News Release 
- 
                        2025年04月02日 News Release 
【なぜテレワークは日本で普及しなかったのか?-経済、働き方、消費への影響と今後の課題-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
なぜテレワークは日本で普及しなかったのか?-経済、働き方、消費への影響と今後の課題-のレポート Topへ 
            




 
                     
                    
 経済 のレポート
経済 のレポート 
                                     
                                     
                                     
                                    
 
                                             
                         
                         
                        
 
            
 
                     
					


