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ふるさと納税:3割5割は関係ない~2019年度は減少したというのは本当か、その理由は?

金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
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- 2019年6月から始まった返礼品の割合を3割以下に抑制する新制度の影響で、2019年度のふるさと納税額は減少に転じた。しかし、返礼品の割合低下がふるさと納税額減少の理由ではない。
- 2019年度のふるさと納税額が減少は、ふるさと納税に係る税控除は暦年(1月~12月)ベースであるのに対し、ニュースで目にするふるさと納税額が年度(4月~翌3月)であること、そして新制度開始前の駆け込み寄付による影響が大きい。
- 実際、2019年におけるふるさと納税控除の適用を受けた納税者の数は減少していない。このため、返礼品の割合が3割に低下したことを理由に、ふるさと納税をやめた納税者は極めて少ないと考えられる。
- 本稿では、返礼品の経済的価値がコストに見合うか否かによって、ふるさと納税を行うか否かを合理的に判断する納税者を前提に、返礼品の割合が5割から3割に低下することによる影響を考える。
- その結果、返礼品の割合が3割に低下することで、ふるさと納税をやめるのは、課税標準額が特定範囲内にある極少数の納税者に限られることがわかる。つまり、大多数の納税者にとって、返礼品の割合が3割か5割かの違いは問題ではない。
- 更に、課税状況データを用いて分析すると、そうした課税標準額が特定範囲内の納税者は、元々ふるさと納税の利用率が低いことが分かる。その理由として、ふるさと納税の上限額の相対的な低さが考えられる。
- ふるさと納税総額の大部分が高額所得者からの寄付であり、高額所得者にとっては、返礼品の割合が3割に低下してもふるさと納税がお得であることに変わりない。このため、新制度により返礼品の割合が3割に低下しても、ふるさと納税寄付総額が減少しない。
■目次
1――2019年度のふるさと納税額は減少したが、2019年のふるさと納税額は増加した
2――新制度を理由にふるさと納税をやめた納税者は少ない
3――返礼品の割合が減ってもふるさと納税総額は減少しない理由
1|大多数の納税者にとって、返礼品の割合が3割か5割かの違いは問題ではない
2|3割になるとやめる納税者のふるさと納税利用率も上限額も相対的に低い
(2021年09月30日「ニッセイ景況アンケート」)
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03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
高岡 和佳子のレポート
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