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上場会社にとってESGのGとは何か、目的は達成できているか-企業価値の向上を株式評価モデルで考える-
安孫子 佳弘
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上場会社にとってのESGのGについては、東証の「コーポレートガバナンス・コード」にその基本が集約されている。このコードを見るとコードの目的は「企業の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」であることが分かる。コードの大半はその目的を達成するための手段や制約条件である。
そこで、「企業価値の向上」について、株式評価モデルを使ってどのように評価できるかを確認してみた。すると、一般的な常識と同じく、「企業価値の向上」のためには増収だけでなく、持続的な増益や増配が必要であることが確認できる。また、PBRが「企業価値の向上」の程度を評価するのに便利な指標であり、PBRが1以下の企業は「企業価値の向上」を果たしていないことが分かる。
しかし、東証一部上場企業のPBRをTOPIXで確認したところ、2021年8月末時点で、 PBRが1以下の企業が全体の44%も占めている。PBRの単純平均は2.69とそこそこ高水準である一方、中央値は1.16と低水準であり、極少数の高PBR企業がPBRの単純平均を引き上げていることが分かった。
もし、PBRが低水準である企業が、コーポレートガバナンスで高評価であった場合、手段や制約条件はクリアしても、肝心な目的は達成していないことになる。上場企業には「企業価値の向上」を達成するためのコーポレートガバナンスへの尽力、そして、「企業価値の向上」に向けた具体的な経営戦略についての投資家への明確な説明を期待したい。
■目次
はじめに
1――コーポレートガバナンス・コードの目的とは何か
2――企業の「持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」をどのように評価すべきか
3――上場企業はコーポレートガバナンスの目的をどのくらい達成しているのか
4――まとめ
<<コードの目的が分かるコード内の記述の抜粋>>
(2021年09月10日「基礎研レポート」)
安孫子 佳弘
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