コラム
2021年08月30日

韓国で男性の育児休業取得率が増加、その理由は?

生活研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任   金 明中

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出生率の低下が続いている韓国で男性の育児休業取得率が増加している。2002年に男性の育児休業取得者数は78人で、取得割合はわずか2.1%に過ぎなかったが、2020年には27,423人となり、取得割合も24.5%まで上昇した。なぜ、多くの男性が育児休業を取得することができるようになったのだろうか。
男女別育児休業取得者と全育児休業取得者のうち男性が占める割合
韓国で男性の育児休業取得者が増えた理由としては、「パパ育児休業ボーナス制度」の施行が挙げられる。女性の労働市場参加の増加や育児に対する男性の意識変化等の要因もあるものの、それが最も大きな要因である。

「育児休業給付金」の特例制度である、いわゆる「パパ育児休業ボーナス制度1」は、男性の育児休業取得を奨励し、少子化問題を改善するために2014年10月に導入された。同制度は、同じ子どもを対象に2回目に育児休業を取得する親(90%は男性)に、最初の3カ月間について育児休業給付金として通常賃金2の100%を支給する制度だ。
 
更に「パパ育児休業ボーナス制度」では、最初の3カ月間の支給上限額は1カ月250 万ウォンに設定されており、それは1回目に育児休業を取得する際に支給される育児休業給付金の上限額(1カ月150 万ウォン)よりも高い。このように、育児休業を取得しても高い給与が支払われるので、中小企業で働いている子育て男性労働者を中心に「パパ育児休業ボーナス制度」を利用して育児休業を取得した人が増加したと考えられる。実際、2020年における育児休業取得者数の対前年比増加率は、従業員数30人以上100人未満企業が13.1%で最も高い(従業員数10人以上30人未満企業は8.5%、従業員数300人以上企業は3.5%)。
韓国における育児休業給付金の概要
日本でも今年の6月、男性の育児休業取得促進を含む育児・介護休業法等改正法案が衆議院本会議において全会一致で可決・成立した。厚生労働省の「令和元年度雇用均等基本調査」(事業所調査)によると、2019年度の男性の育児休業取得率は7.48%に止まり、女性の83.0%と大きな差を見せている。政府は男性の育児休業取得率を2025年までに30%に引き上げるという目標を掲げている。もしかすると、政府の目標達成に韓国の「パパ育児休業ボーナス制度」が参考になるかも知れない3
 
1 実際には2回目は父親が取得することが多い(90%)ので、通称「パパ育児休業ボーナス制度」と呼ばれている。
2 通常賃金は労働者に定期的・一律的に勤労の代価として支給する事と定めた金額で、基本給と諸手当の一部が含まれる。
3 本稿は、「本稿は、「最低賃金の日韓逆転は遠くない?」ニューズウィーク日本版 2021 年 8 月27日に掲載されたものを加筆・修正したものである。
https://www.newsweekjapan.jp/kim_m/2021/08/post-43.php
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生活研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
労働経済学、社会保障論、日・韓における社会政策や経済の比較分析

(2021年08月30日「研究員の眼」)

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