2021年07月30日

2021年4-6月期の実質GDP~前期比0.4%(年率1.5%)を予測~

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
 
  1. 8/16に内閣府から公表される2021年4-6月期の実質GDPは、前期比0.4%(前期比年率1.5%)と2四半期ぶりのプラス成長になったと推計される。
     
  2. 緊急事態宣言の影響で民間消費が前期比▲0.9%と2四半期連続で減少したが、設備投資(前期比3.3%)、住宅投資(同4.5%)の高い伸びがそれをカバーした。実質GDPはプラス成長を確保したものの、国際商品市況の高騰を受けた交易条件の悪化によって交易利得の減少幅が拡大している。実質GDPに交易利得を加えた実質GDIは前期比▲0.6%(前期比年率▲2.3%)と2四半期連続のマイナスになると予想する。
     
  3. 4-6月期の実質GDPは2四半期ぶりのプラス成長となったが、1-3月期の落ち込みを取り戻していない。日本経済は2020年4-6月期に過去最大のマイナス成長となった後、2四半期連続で前期比年率二桁の高成長を記録したが、緊急事態宣言が再発令された2021年入り後は停滞が続いている。
     
  4. 緊急事態宣言の延長、対象地域の拡大を受けて個人消費の低迷はさらに長引く可能性が高い。現時点では、7-9月期は消費の低迷を輸出、設備投資の増加がカバーする形で前期比年率1%程度の成長を予想しているが、実質GDPの水準はコロナ後のピーク(2020年10-12月期)にも届かないだろう。
実質GDP成長率の推移
■目次

●4-6月期は年率1.5%を予測~2四半期ぶりのプラス成長
●主な需要項目の動向
  ・民間消費~財、サービスともに弱い動き~
  ・住宅投資~3四半期連続の増加~
  ・民間設備投資~2四半期ぶりの増加~
  ・公的固定資本形成~増加基調は維持も、2四半期連続の減少~
  ・外需~成長率に対してほぼニュートラルに~
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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