2021年07月20日

じわりと進む円高、持続性をどう見るか?~マーケット・カルテ8月号

経済研究部 上席エコノミスト   上野 剛志

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為替・金利 3ヶ月後の見通し 今月のドル円はやや円高ドル安が進み、足元では109円台前半まで下落している。米緩和縮小・利上げ観測が燻るにもかかわらず米長期金利が急低下し、ドルの重荷となっている。これまで活発化していた米国債売りを伴うリフレトレード(物価上昇を見越した取引)が緩和縮小観測によって巻き戻され、米国債の買戻し(金利低下要因)が進んだ可能性が高い。パウエルFRB議長による頻繁なハト派発言も米長期金利の低下を促した。また、直近ではコロナデルタ株の世界的拡大に伴うリスク回避的な円買いも加わっている。

デルタ株の動向には注意が必要だが、米長期金利の低下はリフレトレードの修正を含む一時的なもので、米金融政策の先行きを踏まえると金利水準も下がりすぎていると考えられる。今後は米国で緩和縮小の議論が進み、8月末のジャクソンホール会議で近い将来の緩和縮小決定が示唆される可能性が高い。緩和縮小とその先の利上げが現実味を増すことで米長期金利は持ち直し、円安ドル高が促されると見ている。ただし、夏場には円高に振れやすいというアノマリーがあることに加え、衆院選接近に伴って国内政治の不透明感が強まり、株価圧迫を通じて円の下値が支えられる可能性が高い。従って、3カ月後の水準は現状比でやや円安の111円台と予想している。

今月のユーロ円は、ユーロ圏の経済指標悪化やデルタ株の世界的拡大に伴うリスク回避的な円買いユーロ売りによって下落し、足元では129円台前半にある。今後もデルタ株の動向に留意が必要なほか、9月の独総選挙を経て独政治が不安定化する恐れがあり、ユーロの下振れリスクになる。ただし、ワクチンの普及や行動規制の緩和に伴う欧州経済の回復シナリオは維持されており、今後もECBによる債券買入れ縮小観測が燻りやすいだろう。ユーロ円は次第に持ち直し、3か月後には132円付近まで回復すると予想している。

今月の長期金利は低下し、足元では0.0%の節目に肉薄している。日銀は今月から国債買入れをさらに減額しているが、米長期金利低下に押された形だ。既述の通り、今後は米長期金利が次第に持ち直すと見込まれるため、本邦長期金利にも上昇圧力がかかると見る。3か月後の水準は0.0%台後半を予想している。
 
(執筆時点:2021/7/20)
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経済研究部   上席エコノミスト

上野 剛志 (うえの つよし)

研究・専門分野
金融・為替、日本経済

(2021年07月20日「基礎研マンスリー」)

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