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- 金価格はどこまで下がるか?~米緩和縮小・利上げが逆風に
2021年07月05日
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■要旨
- 6月FOMCのタカ派的な結果発表を受けて内外の金価格は急落した。市場では近い将来の緩和縮小開始を意識せざるを得なくなったばかりか、その先にある利上げ開始の想定時期まで前倒しされた。NY金先物と逆相関関係にある米実質金利はFOMC後も小動きに留まっているが、その先高観が台頭したことで金を手放す動きが発生したと考えられる。また、FOMC後にドルインデックスが上昇し、ドル建てであるNY金の割高感が強まったことも急落の一因になった。同月下旬には、FRB要人からのハト派的発言を受けて市場の緩和縮小・利上げ観測がやや後退したが、金に対する投資マインドは低迷したままだ。
- 前回FRBが量的緩和の縮小を示唆してから利上げを終了するまでの局面(2013年5月~18年12月)を振り返ると、期間を通じて見た場合、NY金価格は1トロイオンス200ドルほど下落した。量的緩和縮小・利上げが、実質金利の上昇やドル高を通じて金価格を押し下げた形だ。ただし、前回の緩和縮小・引き締め局面が長期・多段階に渡った割に金価格の下落幅は限定的に留まったとも言える。この間の物価上昇圧力が限定的に留まったことで、FRBが緩和縮小・引き締めを慎重に進めたことが背景にある。
- FRBは今回も慎重なペースで緩和縮小・利上げを進めると見込まれ、利上げ余地も限られるとみられることから、金価格への下押し圧力も甚大なものにはならないだろう。長期の予測で不確実性は高いものの、今後大きな障害がなく、緩和縮小・利上げが数年にわたって進捗するとしても、NY金の下値メドは1400ドル前後に留まると予想している。
- なお、リスクシナリオとして、今後の米量的緩和縮小・引き締めが頓挫する可能性も排除はできない。仮にこのシナリオが実現する場合には、FRBは再び金融緩和の維持・強化路線に転じざるを得なくなり、NY金先物は急速に持ち直すと予想される。
■目次
1.トピック: 金価格はどこまで下がるか?
・金価格急落の理由
・前回米緩和縮小・利上げ局面の金相場
・下押し圧力は続くが、大暴落は考えにくい
2.日銀金融政策(6月):資金繰り支援策を延長、新資金供給策を導入
・(日銀)資金繰り支援策の延長、気候変動対応の新資金供給策導入を決定
・評価と今後の予想
3.金融市場(6月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
1.トピック: 金価格はどこまで下がるか?
・金価格急落の理由
・前回米緩和縮小・利上げ局面の金相場
・下押し圧力は続くが、大暴落は考えにくい
2.日銀金融政策(6月):資金繰り支援策を延長、新資金供給策を導入
・(日銀)資金繰り支援策の延長、気候変動対応の新資金供給策導入を決定
・評価と今後の予想
3.金融市場(6月)の振り返りと予測表
・10年国債利回り
・ドル円レート
・ユーロドルレート
(2021年07月05日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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