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- 参院選・日米関税合意を受けて円相場はどう動く?~マーケット・カルテ8月号
2025年07月23日
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日米両政府が関税交渉で合意に至ったことは、先行きの不確実性を緩和し、日銀の利上げのハードルを下げる方向に作用する。ただし、米国とEUや中国などとの間の関税交渉は未だ合意に至っておらず、不確実性は高いままだ。また、日本についても概ね15%の関税が今後も残る。従って、日銀は今後数カ月にわたって現状の政策金利を維持しながら、関税の行方と影響を見極める姿勢を続けるだろう。
国内の政局は極めて流動的な情勢だが、自公が少数与党として野党の政策を採り込みつつ政権運営を行う可能性が高く、財政政策は拡張的になりやすい。これを材料視した円安圧力が燻りそうだ。
ただし、今後は関税の悪影響が次第に米経済に浸透し、FRBの利下げ観測などを通じてドルの圧迫材料となると見ている。トランプ政権の口撃によるFRBの独立性に対する懸念もドル安に働く。ドル安圧力が上回ることで、3か月後は1ドル143円前後になると予想している。
月初1.4%強でスタートした長期金利は、中旬に1.5%台後半まで上昇し、足元も同水準で高止まりしている。参院選での与党苦戦が伝えられ、実際に議席が過半数を割り込んだことで、財政政策が拡張的になるとの警戒が広がったことが主因だ。既述の通り、今後はいずれにせよ財政が拡張的になりやすく、長期金利の上昇圧力は燻るだろう。ただし、財政拡張は一定程度織り込み済みであるほか、財政への影響が大きい消費税減税が早期に決定される可能性は低いとみられ、金利の急上昇は避けられると見ている。3か月後の水準は1.6%強と予想している。
(執筆時点:2025/7/23)
(2025年07月23日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
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