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- ASEANの貿易統計(7月号)~5月の輸出は前年比では大幅に増加するも、今後は輸出の増勢が鈍化する可能性も
2021年07月09日
21年5月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比41.7%増と、前月(同41.7%増)に続いて大幅に増加した(図表1)。輸出は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が昨年4月に本格化して急減した後、経済活動の再開やテレワーク需要の増加に伴う電気・電子製品の出荷増、商品市況の改善を受けて増加基調を維持している。5月の輸出は前年同月の大幅な落ち込みからの反動増により伸び率(前年同月比)が押し上げられたが、イスラム教の断食明け大祭に伴う休暇の影響で前月比では3.7%減少した。今後は足元のASEAN域内の感染再拡大の影響で輸出の増勢が鈍る可能性もある。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、4月は前年の落ち込みの大きい東南アジア向け(同60.8%増)とEU向け(同41.2%増)が反動増で更に上昇した。またコロナ禍からの経済回復が進む北米向け(同40.9%増)と東アジア向け(同27.7%増)も好調を維持した(図表2)。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、4月は前年の落ち込みの大きい東南アジア向け(同60.8%増)とEU向け(同41.2%増)が反動増で更に上昇した。またコロナ禍からの経済回復が進む北米向け(同40.9%増)と東アジア向け(同27.7%増)も好調を維持した(図表2)。
ベトナムの21年5月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比36.6%増となり、前月の同50.8%増から鈍化したものの、3カ月連続のプラスとなった。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染対策として国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて落ち込んだが、6月以降は経済活動の再開と世界的な電子機器の需要増加を受けて増加傾向が継続、更に足もとでは前年同月が厳格なコロナ対策によった落ち込んだ反動増で伸び率が押し上げられている。また輸入額が前年同月比57.9%増(前月:同47.7%増)と上昇した結果、貿易収支は▲20.7億ドルの赤字となり、前月から8.5億ドル減少した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比22.5%増(前月:同52.5%増)、電気製品・同部品が同14.6%増(前月:同29.2%増)と、それぞれ二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同36.4%増(前月:同51.8%増)、履物が同44.0%増(前月:同42.4%増)と好調だった。農林水産物を見ると、コメ(同30.9%減)こそ減少したものの、コーヒー(同10.5%増)や水産物(同21.8%増)、野菜(同25.3%増)、カシューナッツ(同23.4%増)など増加した品目が多かった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同42.8%増(前月:同59.2%増)、地場企業が同23.1%増(前月:同31.9%増)とそれぞれ大幅な伸びとなった。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比22.5%増(前月:同52.5%増)、電気製品・同部品が同14.6%増(前月:同29.2%増)と、それぞれ二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同36.4%増(前月:同51.8%増)、履物が同44.0%増(前月:同42.4%増)と好調だった。農林水産物を見ると、コメ(同30.9%減)こそ減少したものの、コーヒー(同10.5%増)や水産物(同21.8%増)、野菜(同25.3%増)、カシューナッツ(同23.4%増)など増加した品目が多かった。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同42.8%増(前月:同59.2%増)、地場企業が同23.1%増(前月:同31.9%増)とそれぞれ大幅な伸びとなった。
タイの21年5月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比41.6%増(前月:同13.1%増)と一段と上昇して3カ月連続で増加した。輸出は新型コロナ感染拡大の影響が直撃した昨年4~6月に大きく減少した後、経済活動の再開と世界的な電子機器の需要増加を受けて増加傾向が続いており、また足もとでは前年同月が活動制限措置の影響により落ち込んでいた反動増で伸び率が押し上げられている。また輸入額が前年同月比63.5%増(前月:同29.7%増)と上昇した結果、貿易収支は+8.0億ドルとなり、前月から6.1億ドル拡大した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同59.5%増(前月:同33.1%増)と大きく上昇して3カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同53.8%増)や電子機器(同43.2%増)、機械・装置(同48.4%増)、石油化学製品(同51.6%増)、自動車・部品(同148.8%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同98.9%増(前月:同80.1%増)と上昇し、石油製品(同103.8%増)を中心に3ヵ月連続のプラスとなった。このほか、農産物・同加工品は同20.2%増(前月:同14.0%増)と7ヵ月連続で増加した。コメ(同42.1%減)が減少した一方、天然ゴム(同99.2%増)やゴム製品(同42.2%増)、果物(同36.7%増)、加工食品(同5.5%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同47.1%減)は前年同月の大幅な増加による反動減も重なり落ち込んでいる。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同59.5%増(前月:同33.1%増)と大きく上昇して3カ月連続の二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同53.8%増)や電子機器(同43.2%増)、機械・装置(同48.4%増)、石油化学製品(同51.6%増)、自動車・部品(同148.8%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同98.9%増(前月:同80.1%増)と上昇し、石油製品(同103.8%増)を中心に3ヵ月連続のプラスとなった。このほか、農産物・同加工品は同20.2%増(前月:同14.0%増)と7ヵ月連続で増加した。コメ(同42.1%減)が減少した一方、天然ゴム(同99.2%増)やゴム製品(同42.2%増)、果物(同36.7%増)、加工食品(同5.5%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同47.1%減)は前年同月の大幅な増加による反動減も重なり落ち込んでいる。
マレーシアの21年5月の輸出額(ドル建て換算、通関ベース)の伸び率は前年同月比54.8%増(前月:同72.1%増)と上昇幅が縮小したものの、4カ月連続の二桁増となった。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染拡大と国内外の活動制限措置の影響が本格化して約3割の減少を記録した後、世界経済の回復が進むなかで電気・電子製品を中心に拡大、足もとでは前年同月が活動制限令の影響により落ち込んでいた反動増で伸び率が押し上げられている。また輸入額が前年同月比58.0%増(前月:同31.5%増)と上昇した結果、貿易収支は+33.3億ドルとなり、前月から16.1億ドル縮小した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同41.5%増(前月:同55.0%増)と好調で、主力の電気・電子製品(同41.1%増)を中心に12カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同81.2%増(前月:同64.6%減)と一段と上昇した。原油(同153.2%増)と石油製品(同92.6%増)、天然ガス(同52.6%増)が揃ってプラスとなった。このほか、ゴム手袋(同173.0%増)や化学製品(同48.3%増)を動植物性油脂(同66.4%増)もそれぞれ大幅に増加した。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同41.5%増(前月:同55.0%増)と好調で、主力の電気・電子製品(同41.1%増)を中心に12カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同81.2%増(前月:同64.6%減)と一段と上昇した。原油(同153.2%増)と石油製品(同92.6%増)、天然ガス(同52.6%増)が揃ってプラスとなった。このほか、ゴム手袋(同173.0%増)や化学製品(同48.3%増)を動植物性油脂(同66.4%増)もそれぞれ大幅に増加した。
インドネシアの21年5月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比62.0%増(前月:同52.1%増)と更に上昇した。輸出は昨年3~5月にかけて新型コロナの感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて最大約3割減まで落ち込んだが、その後は経済活動の再開や商品市況の改善を受けて持ち直し、足もとでは前年同月が大規模社会制限の影響により大幅に落ち込んでいた反動増で伸び率が上昇している。また輸入額も前年同月比68.7%増(前月:同29.3%増)と上昇した結果、貿易収支は+27.0億ドルとなり、前月から4.1億ドル黒字が拡大した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同61.4%増(前月:同51.1%増)、石油ガス輸出が同72.7%増(前月:同71.2%増)がそれぞれ大幅な増加となった(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同144.9%増)や鉄・鉄鋼(同76.8%増)、ゴム製品(同88.5%増)、電気機械(同73.6%増)、機械類(同73.7%増)、鉱物性燃料(オイル・ガス除く)(同88.7%増)などが好調だった。一方、天然又は養殖真珠、貴石、半貴石(同3.5%減)は減少した。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同61.4%増(前月:同51.1%増)、石油ガス輸出が同72.7%増(前月:同71.2%増)がそれぞれ大幅な増加となった(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同144.9%増)や鉄・鉄鋼(同76.8%増)、ゴム製品(同88.5%増)、電気機械(同73.6%増)、機械類(同73.7%増)、鉱物性燃料(オイル・ガス除く)(同88.7%増)などが好調だった。一方、天然又は養殖真珠、貴石、半貴石(同3.5%減)は減少した。
シンガポールの21年5月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て換算、通関ベース)は前年同月比16.0%増(前月:同13.0%増)となり、昨年同月が感染対策として導入されたサーキットブレーカーの影響により落ち込んだ反動で上昇した。輸出は昨年コロナ禍でも増加傾向で推移した後、今年は世界的な電子製品の需要拡大や石油化学製品の出荷の持ち直しを受けて好調が続いている。なお、総輸出額が同38.4%増(前月:同35.0%増)、総輸入額が同41.0%増(前月:同34.2%増)と、それぞれ伸長した結果、貿易収支は+43.3億ドルとなり、前月から2.7億ドル増加した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同18.3%増(前月:同18.3%増)と高水準が続いて6カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同12.8%増)とPC(同22.6%増)、ダイオード・トランジスタ(同64.1%増)の好調が続いた一方、ディスクメディア(同6.6%減)が2カ月連続で減少した。また全体の約3割を占める化学品は同23.6%増(前月:同5.1%増)と大きく上昇した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同66.0%増)が油価上昇を背景に二桁増を続けた一方、医薬品(同12.7%減)が前年同月の大幅な増加の反動を受けて減少した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品は同18.3%増(前月:同18.3%増)と高水準が続いて6カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同12.8%増)とPC(同22.6%増)、ダイオード・トランジスタ(同64.1%増)の好調が続いた一方、ディスクメディア(同6.6%減)が2カ月連続で減少した。また全体の約3割を占める化学品は同23.6%増(前月:同5.1%増)と大きく上昇した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同66.0%増)が油価上昇を背景に二桁増を続けた一方、医薬品(同12.7%減)が前年同月の大幅な増加の反動を受けて減少した。
フィリピンの21年5月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比29.8%増(前月:同74.1%増)と上昇幅が縮小したものの、大幅な増加が続いた。輸出は、昨年3月に新型コロナ感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が現れて急減した後、経済活動が再開するにつれて回復、足もとでは前年同月が移動制限措置の影響により大幅に落ち込んでいた反動増で伸び率が大きくなっている。また輸入額が前年同月比47.7%増(前月:同152.8%増)と大幅増となった結果、貿易収支は▲27.6億ドルとなり、前月から3.3億ドル改善した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同25.4%増(前月:同102.2%増)と鈍化したが、3カ月連続の二桁増となった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同19.3%増)が大きく増加したほか、電子データ処理機(同3.9%増)、電気通信機器(同1.5%増)、消費者向け電子製品(同1.1%増)なども増加した。その他9品目は増加した品目が多かった。イグニッションワイヤーセット(同220.7%増)と金属部品(同150.8%増)、製錬銅(同135.4%増)、電子機器・部品(同101.2%増)、その他製造品(同78.3%増)、化学品(同41.5%増)、ココナッツオイル(同29.0%増)、その他鉱物製品(同5.4%増)が増加した一方、機械・輸送用機器(同5.6%減)が減少した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同25.4%増(前月:同102.2%増)と鈍化したが、3カ月連続の二桁増となった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同19.3%増)が大きく増加したほか、電子データ処理機(同3.9%増)、電気通信機器(同1.5%増)、消費者向け電子製品(同1.1%増)なども増加した。その他9品目は増加した品目が多かった。イグニッションワイヤーセット(同220.7%増)と金属部品(同150.8%増)、製錬銅(同135.4%増)、電子機器・部品(同101.2%増)、その他製造品(同78.3%増)、化学品(同41.5%増)、ココナッツオイル(同29.0%増)、その他鉱物製品(同5.4%増)が増加した一方、機械・輸送用機器(同5.6%減)が減少した。
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(2021年07月09日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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