2021年06月17日

米住宅着工・許可件数(21年5月)-着工件数は157.2万件、許可件数は168.1万件と、ともに市場予想を下回る。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:着工は前月から増加、許可件数は前月から減少、いずれも市場予想を下回る

 6月16日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は157.2万件(前月改定値:151.7万件)と156.9万件から下方修正された前月を上回った一方、市場予想の163.0万件(Bloomberg集計の中央値)は下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は168.1万件(前月改定値:173.3万件)と、176.0万件から下方修正された前月、市場予想の173.0万件も下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:許可件数の減少は今後の着工件数が鈍化する可能性を示唆

住宅着工件数の伸びは前月比+3.6%(前月:▲12.1%)と前期の2桁のマイナスからプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、集合住宅が前月比+2.4%(前月:▲1.5%)、戸建てが+4.2%(前月:▲16.0%)といずれも前月からプラスに転じたことが分かる(図表4)。

前年同月比では+50.3%(前月:+61.7%)と前月からは鈍化したものの高い伸びを維持した。戸建てが+49.8%(前月:+53.9%)となったほか、集合住宅が+51.4%(前月:+83.0%)といずれも高い伸びとなった。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が▲2.2%ポイント(前月:▲0.8%ポイント)と前月に続いてマイナスとなったものの、中西部が+3.6%ポイント(前月:▲6.0%ポイント)、南部が+2.0%ポイント(前月:▲6.2%ポイント)と前月からプラスに転じたほか、西部が+0.3%ポイント(前月:+0.9%ポイント)と2ヵ月連続でプラスを維持した。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲3.0%(前月:▲1.3%)とこちらは2ヵ月連続でマイナスとなった(図表5)。集合住宅が▲5.8%(前月:+4.3%)と前月からマイナスに転じたほか、戸建てが▲1.6%(前月:▲3.9%)と、こちらは2ヵ月連続でマイナスとなった(図表6)。許可件数の減少が今後の着工件数の鈍化に繋がるか今後の動向が注目される。

前年同月比は+34.9%(前月:+58.4%)と12ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+50.1%(前月:+70.6%)と11ヵ月連続で2桁のプラスとなったほか、集合住宅も+11.8%(前月:+39.0%)と4ヵ月連続で2桁のプラスとなった。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、6月が81(前月:83)と前月から▲2ポイント低下し、20年8月(78)以来の水準となった(図表7)。

指数の内訳は販売現況が86(前月:88)、販売見込みが79(前月:81)、客足が71(前月:73)といずれも前月から▲2ポイント低下した。

NAHBのファウケ会長は「コスト高と針葉樹製材やその他の建設資材の入手可能性の低下が6月の業者心理を押し下げた」としており、引き続き資材コストの上昇などが戸建て住宅回復の重石となっている状況が確認できる。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2021年06月17日「経済・金融フラッシュ」)

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