コラム
2021年05月21日

ドリームジャンボの期待-宝くじのポートフォリオをどう組成する?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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新型コロナのワクチン接種が始まっているが、変異株の拡大もあり、コロナ禍の収束は見通せない。東京や大阪などの都道府県には、緊急事態宣言が発令されている。これに伴い、さまざまなイベントが、中止や無観客に追い込まれている。自粛を求められる生活が続き、「正直、もううんざり」という人も多いだろう。

そんな中、一時の気晴らしとして期待されるのが、「夢が膨らむ宝くじ」だ。現在、その名のとおり、ドリームジャンボ宝くじが発売されている。最高当せん金は、1等前後賞あわせて5億円と高額だ。ただ、今回の宝くじの内容には、当せん金など、一部で昨年から変更されている部分もある。その変更点や、昨年の年末ジャンボ宝くじとの違いなどをみていきながら、今年はなにを狙うべきか、少し考えてみよう。

◆ 1000万円以上の当せん本数が年末ジャンボの1.7倍!

ドリームジャンボ宝くじには、年末ジャンボ宝くじと同様、「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞あわせて5億円」のうたい文句で販売されるのは、ドリームジャンボだ。これに対して、ドリームジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞あわせて5000万円となっている。

じつは、ドリームジャンボは、当せん金や当せん数などが昨年とまったく同じ内容で発売されており、高額当せんの本数が多い。

特に注目すべきなのは、1000万枚あたり、当せん金1000万円以上の本数が、年末ジャンボの1.7倍もある点だ。1等前後賞の当せん金合計は、年末ジャンボ(10億円)の半分だが、その代わり、当せん本数は2倍となっている。また、当せん金1000万円の2等の当せん本数も、年末ジャンボの1.5倍と多くなっている。

この宝くじは、1枚300円のくじで1000万円以上の賞金、といった高額当せんの夢を見るにはうってつけだ。ドリームジャンボは、「ものすごい高額の賞金があたるかもしれない」という一攫千金のワクワク感を味わうためのくじといえそうだ。

◆ ミニは当せん金5万円以上の本数が約4倍に!

いっぽう、ドリームジャンボミニはどうか。ドリームジャンボと違って、当せん金の最高額は1等前後賞あわせて5000万円にとどまるが、その分、2等以下の当せんの期待は大きい。

じつは、ドリームジャンボミニは昨年のものから様変わりしている。昨年は1等に前後賞がなく、1等の当せん金は1000万円のみだった。その分、1万円以上の当せん金が当たる本数が多く、平均して、くじを100枚買えば1本は1万円以上の当せん金が当たる仕組みだった。もっとも1枚300円なので、くじを100枚買うためには3万円の出費となってしまうのだが……。

今年のドリームジャンボミニは、1ユニット(1000万枚)あたりの当せん金や当せん数が、昨年の年末ジャンボミニと同じ内容で発売されている。1万円以上の当せん金の期待を確保しながら、最高額として1等前後賞合計5000万円も狙える仕組みだ。

1万円以上の当せん金が当たるには、平均して、くじを186枚買う(5万5800円)必要がある。一方、5万円以上の当せん金が当たる確率をみると、昨年(0.0101%)と比べて、今年(0.04012%)は約4倍に引き上げられている。

ドリームジャンボミニは、ドリームジャンボに比べて当せん金の額は小さいが、「もしかしたら当せんするかもしれない」という高い当せん確率のワクワク感を味わうためのくじといえるだろう。

◆ 2つのくじを上手に買い分ければワクワク度はアップするはず

宝くじを買うときは、1000万円といった「高額当せん」の期待と、1万円や5万円の「高確率当せん」という、2種類のワクワク感があるはずだ。

もちろん、高額当せんの期待をとるか、高確率当せんを重視するか、は人それぞれだ。ただ、宝くじを買う人は誰でも抽せん日までいい夢を見たいと思っているはずだ。

そこで、自分がどんな夢を見たいのかをよく考えて、ドリームジャンボとドリームジャンボミニの買い分けを検討してみる。つまり、自分にとっての宝くじの効用を考えながら、「宝くじのポートフォリオを組成」してみるわけだ。

 ―「1000万円以上の当せん金が当たったら、当せん金はどう使おうか?」
 ―「5万円の当せん金が当たったら、購入額の何倍のもうけになるか?」
 ―「そのためには、ジャンボとジャンボミニのくじを何枚ずつ買うことにしようか?」

こんな感じで、いろいろ考えているうちに、うんざりするようなコロナ禍の自粛生活を、少しでも忘れることができていれば、すでに宝くじを買う効用があったといえるかもしれない。

今回のドリームジャンボ宝くじの発売期間は、6月4日(金)までで、まだしばらくは時間がある。いろいろ考えながらくじを買うことで、少しワクワク感を味わってみるのもよいと思われるが、いかがだろうか。
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

(2021年05月21日「研究員の眼」)

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