コラム
2021年02月16日

バレンタインジャンボ 何を狙うか?-一攫千金か、それとも1万円の当せん金か

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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現在、新型コロナの緊急事態宣言が再発令されている。さまざまなイベントが中止、延期や、人数制限での開催となるなど、自粛ムードが蔓延している。そうしたなかで、宝くじへの注目度が上がっている。夢が膨らむ宝くじは、コロナ禍の暗い気持ちをしばし忘れる、気晴らしになるかもしれない。
 
特に、年に5回行われるジャンボ宝くじは、1等の当せん金が大きく、しかも全国どこの売り場でも簡単に購入できるため、人気が高い。

今月は、バレンタインジャンボ宝くじが発売された。このバレンタインジャンボは、2018年に始まったばかりの比較的新しい宝くじだ。2017年までは、グリーンジャンボ宝くじとして行われてきた。

昨年この時期のジャンボ宝くじは、「東京2020協賛ジャンボ宝くじ」として実施された。つまり、バレンタインジャンボ宝くじとして行われるのは2年ぶりで、今回でまだ3回目ということになる。

最高当せん金は1等前後賞あわせて3億円と高額だ。ただ、細かい点で昨年から変更された部分もある。そこで、変更点をみながら今年は何を狙うべきか、考えてみよう。

◇ 1万円以上の当せん本数が4割以上も増えた

バレンタインジャンボ宝くじには、年末ジャンボ宝くじと同様「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞あわせて3億円」のうたい文句で販売されるのは、バレンタインジャンボだ。これに対して、バレンタインジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞あわせて3000万円となっている。

それでは、バレンタインジャンボは昨年の東京2020協賛ジャンボから何が変更となったか。主な変更点は6つ挙げられる。

(バレンタインジャンボの主な変更点)
(1) 2等の当せん金額が500万円から1000万円に引き上げられ、当せん本数は1ユニット(=1000万本)あたり5本から3本に減少
(2) 3等100万円の当せん本数が、1ユニットあたり100本から50本に減少
(3) 4等の当せん金額が、10万円から5万円に半減(当せん本数は変わらず)
(4) 5等1万円の当せん本数が、1ユニットあたり2万本から3万本に増加
(5) これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は112万3207本から113万3155本に増加
(6) 1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、143.49円から143.99円に0.5円増額

このうち、もっとも注目すべきは、(4)の5等1万円の当せん本数が増加する点だ。これにより、1万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニット(1000万本)あたり、昨年の2万3207本から今年は3万3155本へと4割以上増加する。

誰でも、1枚300円のくじを買って1万円以上の当せん金が当たれば嬉しいだろう。この嬉しさを多くの人に味わってもらえるように、5等の当せん本数が増やされたものとみられる。

◇ 1万円以上の本数は、年末ジャンボよりも多い

じつは、バレンタインジャンボは昨年の年末ジャンボに比べて、1万円以上の当せんが出やすくなっている。昨年の年末ジャンボでは、1万円の当せん本数を増やして1万円以上の当せんが出る確率が0.31123%に引き上げられていた。これが、今回のバレンタインジャンボでは0.33155%にまで高められた。

これは、平均的にいうと、302本買えば1万円以上の当せんが1本出る確率だ。ただし、302本買うには、9万600円が必要なため、1万円が1本当たるだけでは持ち出しになってしまう。この点には、要注意だ。

◇ ミニは当せん金1万円以上が7割以上も増加

一方の、バレンタインジャンボミニはどうか。

バレンタインジャンボと違って、当せん金の最高額は1等前後賞あわせて3000万円にとどまるが、その分、2等以下の当せんの期待は大きくなる。

バレンタインジャンボミニについても、昨年の東京2020協賛ジャンボミニからの主な変更点は、6つにまとめられる。

(バレンタインジャンボミニの主な変更点)
(1) 当せん金100万円(1ユニットあたり50本)としていた2等がなくなった
(2) 当せん金10万円としていた3等が、当せん金5万円の2等に変わった(当せん本数は1ユニットあたり4000本のまま変わらず)
(3) 当せん金1万円としていた4等が同額のまま3等となり、当せん本数は1ユニットあたり2万本から4万本に倍増
(4) 東京2020賞(当せん金3万円、1ユニットあたり1000本)はなくなった
(5) これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は112万5065本から114万4015本に増加
(6) 1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、143円から135円に減少

このうち、もっとも目を引くのは、(3)の当せん金1万円の当せん本数が倍増する点だ。1ユニットあたりでみると、1万円以上が当たるくじの本数は、昨年の2万5065本から今年は4万4015本へと、なんと7割以上も増加する。

ただし、当せん金の平均受取額は、143円から135円に減少するので要注意だ。1万円は当たりやすくなったが、それより高額の当せんはなくなったり、減らされたりしているためだ。

また、1万円以上が当たるくじの本数は、昨年の年末ジャンボミニ(1000万本あたり5万4012本)に比べると少ない。この点も少し注意が必要といえそうだ。

◇ さて、1万円を狙うか、それとも一攫千金を狙うか

このように、バレンタインジャンボもバレンタインジャンボミニも、当せん金1万円の本数が大幅に増えている。これが今年の特徴といえる。

「とにかく1万円以上の当せんを目指す」ということでいえば、バレンタインジャンボミニを買うのがよいだろう。1万円以上の当せん確率は0.44015%で、平均的には228本買うと1万円以上の当せんが1本出る。

一方、「やはり3億円の高額当せんを狙いたい」ということならば、バレンタインジャンボがおすすめとなる。1等が当たる確率は1000万本に1本で、年末ジャンボの場合(2000万本に1本)に比べて2倍になっている。

当せん本数が倍増した1万円の当せん金を目指してバレンタインジャンボミニを買うか、それとも宝くじの醍醐味である一攫千金を狙ってバレンタインジャンボを買うか、どちらも買うとしたら、それぞれの枚数はどうするか──。

今年のバレンタインジャンボ宝くじは3月5日まで販売、抽せん日は3月12日だ。まだ販売期間はしばらくある。いろいろ考えて、ワクワク、くじを買うのもよいと思われるが、いかがだろうか。
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

(2021年02月16日「研究員の眼」)

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