2021年05月20日

コロナ禍1年の家計消費の変化-ウィズコロナの現状分析とポストコロナの考察

生活研究部 上席研究員   久我 尚子

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■要旨
 
  • 感染状況が悪化しても、当初ほど個人消費は落ち込みにくくなっている。その要因には、再度の緊急事態宣言の発出は一部地域にとどまること、店舗施設の営業自粛要請が当初と比べて限定的であること、感染防止対策の習慣化や危機意識の低下などにより生活者の感染不安が弱まり、人の流れが減りにくくなっていることがあげられる。
     
  • コロナ禍による消費内訳の変化を見ると、食関連では外食が大幅に減る一方、パスタや肉、出前などの支出が増え、食事では手軽さと質の高さの需要が増している。外食需要が中食へシフトしているが、コロナ前から中食市場は共働き世帯の増加などで拡大していた。ポストコロナでは外食需要は徐々に回復するだろうが、テレワークで人の流れが変わるため、店舗立地に工夫が求められる。
     
  • 交通や旅行、レジャーなどの外出型消費の支出は感染状況と連動し、前年同月をおおむね下回る。ポストコロナでは回復基調を示すだろうが、テレワークで通勤需要が減るため、交通機関では新たな領域での展開や業態転換を合わせた検討が求められる。旅行やレジャーではコロナ前から、特に若い世代で娯楽の多様化等による相対的な興味関心の低下が課題であり、引き続き相違工夫が求められる。
     
  • パソコンなどのテレワーク関連製品は給付金の後押しもあり、支出額が増えている。耐久消費財であるため、購入後数年は落ち着きが見られるだろうが、今後も一定のサイクルでの需要増が期待できる。一方、背広服などのオフィス着の需要は減っており、コロナ前からオフィス着のカジュアル化の流れはあったが、ポストコロナでは一層、製品ラインナップのカジュアル化などの流れは強まるだろう。
     
  • ゲーム機の支出は全国一斉休校や感染が再拡大した夏休みなど、子どもの生活と連動して増えている。また、デジタル化の進展でデジタル娯楽の需要が増している上に、コロナ禍での需要増が加わり、電子書籍などのデジタルコンテンツの支出も増えている。今後はシニア層でもスマートフォン利用率などが高まることで、電子書籍などは幅広い層に需要が広がる可能性もある。
     
  • 2020年の個人消費は巣ごもり需要に加えて、オンライン対応など企業の創意工夫に支えられたが、支出額の大きな外出型消費の大幅な減少は個人消費全体へ与える影響が大きい。米国などワクチン接種先行国では、すでに外出型の消費がコロナ前の水準に迫る勢いで回復している。日本でもワクチン接種がいかに早期に進むかが回復の鍵だ。


■目次

1――はじめに~コロナ禍1年余りが経過、個人消費の現状は?
2――個人消費全体の状況
 ~感染状況と消費は連動するが、人流が減りにくくなり当初ほどは落ち込まず
3――消費内訳の変化
 ~ウィズコロナでは外出型消費大幅減少、巣ごもり消費活発化、ポストコロナは?
  1|食関連~外食支出は感染状況と連動、中食・内食増加が一定の定着、テレワークで
   店舗立地に変化も
  2|外出関連~外出自粛や非接触志向の高まりで大幅減少、今後は業態転換などの工夫も必要
  3|対面型接触系サービス~診療など必要性が高いと減少幅小、オンライン診療・処方の
   利用率は約2割
  4|デジタル関連~テレワークやネット通販の利用などコロナ禍で加速するデジタル化
  5|その他~マスク着用でメイクアップ用品の需要減、巣ごもり生活でペット飼育頭数増加
4――おわりに
 ~巣ごもり需要や企業の創意工夫に支えられた2020年の消費、今後はワクチン接種が鍵
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、保険・金融マーケティング

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【コロナ禍1年の家計消費の変化-ウィズコロナの現状分析とポストコロナの考察】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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