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- ASEANの貿易統計(5月号)~3月の輸出は米国・中国向けを中心に増加傾向が継続
2021年05月07日
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21年3月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比23.5%増(前月:同5.0%増)と大きく上昇して5カ月連続のプラスとなった(図表1)。輸出の伸び率は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が昨年4月に本格化して急減したが、概ね6月以降は経済活動の再開を反映して持ち直しの動きが続いている。今年2月は主にベトナムにおけるテト(旧正月)休暇の影響を受けて輸出が下振れしたが、足元ではテレワーク需要の増加に伴う電気・電子製品の出荷増や商品市況の改善の影響が輸出全体を押し上げている。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、3月はコロナ禍から経済が回復している北米向け(同33.6%増)と東アジア向け(同27.1%増)が引き続き好調だったほか、EU向け(同28.6%増)と東南アジア向け(同12.1%増)も二桁増となった(図表2)。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、3月はコロナ禍から経済が回復している北米向け(同33.6%増)と東アジア向け(同27.1%増)が引き続き好調だったほか、EU向け(同28.6%増)と東南アジア向け(同12.1%増)も二桁増となった(図表2)。
ベトナムの21年3月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比23.5%増となり、前月の同3.8%減から急上昇して2カ月ぶりに増加した。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染対策として国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて落ち込み、6月以降は経済活動の再開と世界的な電子機器の需要増加を受けて増加傾向が続いている。また輸入額が前年同月比28.8%増(前月:同9.7%増)と増加した結果、貿易収支は+12.0億ドルとなり、前月から16.6億ドル増加した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比13.4%減(前月:同24.5%増)と2カ月連続の二桁減少となったものの、電気製品・同部品が同26.6%増(前月:同22.6%増)と14ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同16.3%増(前月:同18.9%減)、履物が同23.9%増(前月:同11.4%減)と、それぞれ増加に転じた。農林水産物を見ると、コメ(同4.0%減)やカシューナッツ(同16.2%減)が減少したものの、野菜(同12.9%増)や水産物(同16.8%増)、コーヒー(同1.0%増)が増加するなど、総じて前月の不調からやや持ち直した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同34.4%増(前月:同6.3%増)と大幅に増加すると共に、地場企業が同0.5%増(前月:同26.4%減)と僅かに増加した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比13.4%減(前月:同24.5%増)と2カ月連続の二桁減少となったものの、電気製品・同部品が同26.6%増(前月:同22.6%増)と14ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同16.3%増(前月:同18.9%減)、履物が同23.9%増(前月:同11.4%減)と、それぞれ増加に転じた。農林水産物を見ると、コメ(同4.0%減)やカシューナッツ(同16.2%減)が減少したものの、野菜(同12.9%増)や水産物(同16.8%増)、コーヒー(同1.0%増)が増加するなど、総じて前月の不調からやや持ち直した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同34.4%増(前月:同6.3%増)と大幅に増加すると共に、地場企業が同0.5%増(前月:同26.4%減)と僅かに増加した。
タイの21年3月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比8.5%増(前月:同2.6%減)と2カ月ぶりに増加した。輸出は昨年3月から新型コロナ感染拡大の影響が現れて4~6月に大きく減少した後、7月以降は経済活動の再開と世界的な電子機器の需要増加を受けて増加傾向にある。また輸入額が前年同月比14.1%増(前月:同22.0%増)と大幅な増加が続いた結果、貿易収支は+7.1億ドルとなり、前月から7.0億ドル増加した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同13.4%増(前月:同2.5%増)と上昇して二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同19.5%増)や電子機器(同9.8%増)、機械・装置(同25.3%増)、石油化学製品(同39.8%増)、自動車・部品(同41.1%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同21.3%増(前月:同5.0%減)となり、石油製品(同20.5%増)を中心に13ヵ月ぶりのプラスとなった。農産物・同加工品は同15.9%増(前月:同12.2%増)と5ヵ月連続で増加した。加工食品(同4.4%減)や果物(同44.7%減)、コメ(同40.5%減)などが減少した一方、ゴム製品(同69.3%増)や天然ゴム(同109.2%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同81.4%減)は前年に急増した反動により大幅に減少した。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同13.4%増(前月:同2.5%増)と上昇して二桁増となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、外出自粛の影響で増加傾向の続く家電製品(同19.5%増)や電子機器(同9.8%増)、機械・装置(同25.3%増)、石油化学製品(同39.8%増)、自動車・部品(同41.1%増)など幅広い品目が増加した。また鉱業・燃料は同21.3%増(前月:同5.0%減)となり、石油製品(同20.5%増)を中心に13ヵ月ぶりのプラスとなった。農産物・同加工品は同15.9%増(前月:同12.2%増)と5ヵ月連続で増加した。加工食品(同4.4%減)や果物(同44.7%減)、コメ(同40.5%減)などが減少した一方、ゴム製品(同69.3%増)や天然ゴム(同109.2%増)が増加した。なお、非貨幣用金(同81.4%減)は前年に急増した反動により大幅に減少した。
マレーシアの21年3月の輸出額(ドル建て換算、通関ベース)の伸び率は前年同月比36.9%増(前月:同21.0%増)と上昇して7カ月連続で増加した。輸出は昨年4~5月に新型コロナ感染拡大と国内外の活動制限措置の影響が本格化して約3割の減少を記録した後、世界経済の回復が進むなかで電気・電子製品を中心に拡大している。また輸入額が前年同月比24.6%増(前月:同16.0%増)と上昇した結果、貿易収支は+58.8億ドルとなり、前月から14.6億ドル拡大した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同43.4%増(前月:同24.5%増)と大きく上昇、主力の電気・電子製品(同54.7%増)を中心に10カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同29.9%減(前月:同8.3%減)と急減した。天然ガス(同20.9%減)と原油(同23.9%減)が低迷したほか、前月に大幅に増加した石油製品(同40.3%減)が再び減少した。このほか、ゴム手袋(同276.1%増)が好調、化学製品(同42.6%増)や動植物性油脂(同60.9%増)が二桁増となった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同43.4%増(前月:同24.5%増)と大きく上昇、主力の電気・電子製品(同54.7%増)を中心に10カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同29.9%減(前月:同8.3%減)と急減した。天然ガス(同20.9%減)と原油(同23.9%減)が低迷したほか、前月に大幅に増加した石油製品(同40.3%減)が再び減少した。このほか、ゴム手袋(同276.1%増)が好調、化学製品(同42.6%増)や動植物性油脂(同60.9%増)が二桁増となった。
インドネシアの21年3月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比30.5%増(前月:同8.5%増)と大きく上昇した。輸出は昨年3~5月にかけて新型コロナの感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて最大約3割減まで落ち込んだが、6月以降は経済活動の再開を反映して持ち直し、足元では製造業の出荷増や商品市況の改善が輸出の押上げ要因となっている。また輸入額も前年同月比25.7%増(前月:同14.9%増)と大きく上昇した結果、貿易収支は+15.7億ドルとなり、前月から4.2億ドル黒字が縮小した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同30.1%増(前月:同8.6%増)、石油ガス輸出が同38.7%増(前月:同6.9%増)がそれぞれ大幅に増加した(図表10)。品目別にみると、動植物性油脂(同78.5%増)とゴム製品(同40.1%増)、機械類(同21.6%増)、電気機械(同34.8%増)、自動車・同部品(同21.4%増)、鉱物性燃料(オイル・ガス除く)(同10.8%増)などが好調だった。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同30.1%増(前月:同8.6%増)、石油ガス輸出が同38.7%増(前月:同6.9%増)がそれぞれ大幅に増加した(図表10)。品目別にみると、動植物性油脂(同78.5%増)とゴム製品(同40.1%増)、機械類(同21.6%増)、電気機械(同34.8%増)、自動車・同部品(同21.4%増)、鉱物性燃料(オイル・ガス除く)(同10.8%増)などが好調だった。
シンガポールの21年3月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て換算、通関ベース)は前年同月比18.4%増(前月:同9.0%増)と大きく上昇した。輸出は昨年コロナ禍でも大幅な減少を回避し、今年は世界的な電子製品の需要拡大を受けて増加傾向で推移している。なお、総輸出額が同27.8%増(前月:同2.5%増)、総輸入額が同24.5%増(前月:同0.2%減)と、それぞれ急増した結果、貿易収支は+57.8億ドルとなり、前月から20.3億ドル拡大した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品が同31.3%増(前月:同12.3%増)と、4カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同25.8%増)とPC(同75.3%増)の好調が続いたほか、PC部品(同34.1%増)とディスクメディア(同6.0%減)が3カ月ぶりに増加した。また全体の約3割を占める化学品は同43.9%増(前月:同2.6%減)と2カ月ぶりに増加した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同59.8%増)が油価上昇を背景に二桁増を続けたほか、医薬品(同32.5%増)が2月の大幅な減少から増加に転じた。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約2割を占める電子製品が同31.3%増(前月:同12.3%増)と、4カ月連続の二桁増となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同25.8%増)とPC(同75.3%増)の好調が続いたほか、PC部品(同34.1%増)とディスクメディア(同6.0%減)が3カ月ぶりに増加した。また全体の約3割を占める化学品は同43.9%増(前月:同2.6%減)と2カ月ぶりに増加した。化学品の内訳を見ると、石油化学製品(同59.8%増)が油価上昇を背景に二桁増を続けたほか、医薬品(同32.5%増)が2月の大幅な減少から増加に転じた。
フィリピンの21年3月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比31.6%増(前月:同1.6%減)と急増して3カ月ぶりのプラスとなった。輸出の基調は、昨年3月から新型コロナ感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が現れて急減した後、5月から経済活動の再開を反映して回復しており、足元では輸出全体の約6割を占める電子部品の出荷増が輸出拡大に寄与している。また輸入額が前年同月比16.6%増(前月:同8.9%増)と上昇した結果、貿易収支は▲24.1億ドルとなり、前月から3.0億ドル改善した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、全ての品目が増加した。その他鉱業品(同195.8%増)と化学品(同159.8%増)、その他製造品(同115.7%増)、金属部品(同84.4%増)、電子機器・部品(同63.1%増)、製錬銅(同57.7%増)、機械・輸送用機器(同45.7%増)、電子製品(同25.0%増)、イグニッションワイヤーセット(同21.9%増)、ココナッツオイル(同7.8%増)が増加した(図表14)。
輸出シェア上位10品目を見ると、全ての品目が増加した。その他鉱業品(同195.8%増)と化学品(同159.8%増)、その他製造品(同115.7%増)、金属部品(同84.4%増)、電子機器・部品(同63.1%増)、製錬銅(同57.7%増)、機械・輸送用機器(同45.7%増)、電子製品(同25.0%増)、イグニッションワイヤーセット(同21.9%増)、ココナッツオイル(同7.8%増)が増加した(図表14)。
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(2021年05月07日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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