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世界各国の金融政策・市場動向(2021年4月)-ドル高傾向に歯止めがかかり、ドル安に
経済研究部 准主任研究員 高山 武士
1.概要:金融政策は現行政策を維持する国が多い
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する50か国・地域について確認する(2020年11月末よりMSCIの新興国としてクウェートが追加されている)。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。
2.金融政策:多くの国で現行政策の維持を決定
4月は多くの主要国で金融政策の決定が実施されているが、ほとんどの中央銀行が現行政策の維持を決定している。主要中銀で目立った動きが見られたのは、カナダ、ロシア、インドである。
カナダでは国債購入策の購入ペースの減額が決定された。国債購入策の開始当初は週50億カナダドルであったが昨年10月に40億カナダドル、今年4月に30億カナダドルと段階的に減速させてきている。
ロシアでは3月に続く2会合連続での利上げを決定し、政策金利を4.50%から5.00%まで引き上げた。市場は4.75%までの引き上げを予想していたが、それ以上の引き締め姿勢を示した。前回も市場予想が据え置きの中で利上げをしており、中銀の積極的な引き締め姿勢が続いている。
インドは主要な政策金利は維持したものの、流通市場における新たな国債購入策(G-SAP 1.0: G-sec acquisition programme)の導入を決定した。RBI(インド準備銀行)ではこれまでも公開市場操作の一環として、国債の買い切り(流動性供給)を実施していたが、G-SAP 1.0では事前に国債購入額を明示している点に違いがあり、今回は2021年4-6月期で1兆ルピーの購入を決定している。RBIのバランスシート(の特定資産)金額を目標とした国債購入策という点では先進国などで実施されてきた量的緩和と類似しているが、流動性の罠の状況にある先進国中銀が実施する流動性の大量供給によるインフレ促進策とは異なる目的で実施されていると考えられる。RBIの主目的はイールドカーブの制御効果と見られ、特に、政府の国債発行を大量に控えているため、今後の金利急騰リスクの抑制という財政ファイナンス的な思惑もあると考えられる。
なお、トルコでは3月に総裁だったタカ派のアーバル氏が解任され、後任のハト派とみられるカブジュオール総裁を迎えた初の会合であったため、その決定に注目が集まっていたが、結果は政策金利の維持を決定し、様子見姿勢を示している。
3.金融市場:多くの国で株価は上昇、通貨はドル安に転じる
2 名目実効為替レートは2021年4月30日の前月末比で算出。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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(2021年05月06日「経済・金融フラッシュ」)
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