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貸出・マネタリー統計(21年2月)~コロナ禍で銀行貸出は高い伸びを維持、普通預金等の伸びは過去最高を更新
経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志
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1.貸出動向:対面サービス業向けの貸出増加が顕著
2.マネタリーベース: 通貨供給量の伸びは10カ月連続の上昇
日銀当座預金の減少要因となる政府による国債(国庫短期証券を含む)発行は、コロナ対応の歳出拡大を受けて高い水準で推移しているが、日銀が大規模な国債買入れによって資金供給の拡大を続けていることで(図表8)、日銀当座預金残高の伸びが拡大している。
また、日銀券発行高の伸び率が前年比6.1%と2016年6月以来の高水準を記録したこともマネタリーベースの増勢加速に寄与している(図表7)。外出自粛が続くなかで、家庭などにおいて高額紙幣を退蔵する傾向(タンス預金化)が強まっている可能性が高い。
国内でもワクチンの接種が始まったが、経済活動の正常化にはまだかなりの時間を要する。政府による補助金等の支給がマネタリーベースの増加要因となるうえ、日銀が金利上昇抑制のために積極的な国債買入れを続けるとみられることから、マネタリーベースの伸び率は高止まりする可能性が高い。
3.マネーストック: 預金通貨の伸びが過去最高を更新、投資信託はプラス幅を拡大
M3の内訳では、普通預金等の預金通貨(前月15.5%→当月15.8%)の伸び率が上昇し(図表12)、過去最高を更新、全体をけん引している。預金の増加に繋がる貸出の高い伸びが続いているほか、政府による各種給付金等の支給、緊急事態宣言再発令に伴う消費減少の結果、普通預金の増勢がさらに強まったとみられる。
また、既述のとおり、高額紙幣を退蔵する傾向(タンス預金化)の強まりが背景にあるとみられるが、現金通貨(前月5.7%→当月6.1%)の伸び率も前月から上昇している(図表12)。一方、CD(譲渡性預金・前月8.7%→当月7.1%)の伸びがプラス幅を縮小したほか、定期預金などの準通貨(前月▲2.2%→当月▲2.1%)の伸びは引き続きマイナス圏かつ小動きに留まった(図表13)。

内訳を見ると、規模の大きい金銭の信託(前月▲1.3%→当月▲1.1%)や国債(前月▲5.0%→当月▲6.3%)、外債(前月1.4%→当月1.2%)の伸び率が低迷し、広義流動性全体の重荷となった。また、世界的な株価上昇などを受けて資金流入が進んだ結果、投資信託(私募やREITなども含む元本ベース、前月0.8%→当月5.2%)の伸び率はプラス幅を拡大したものの、預金通貨の伸び率(当月15.8%)には大きく及んでいない(図表13)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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(2021年03月09日「経済・金融フラッシュ」)
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