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2018年01月15日
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1.貸出動向: 13ヶ月ぶりの低い伸び率に
1月12日に発表された貸出・預金動向(速報)によると、12月の銀行貸出(平均残高)の伸び率は前年比2.44%と前月改定値(同2.72%)から大きく低下した(図表1)。75ヵ月連続でプラスを維持しているものの、伸び率は5ヵ月連続で低下し、13ヶ月ぶりの低水準となった。地銀(第2地銀を含む)の伸び率は前年比3.5%(前月も同じ)と高水準で横ばいを維持したが、都銀等の伸び率が同1.2%(前月は1.8%)と5ヵ月連続で低下した(図表2)。
ここ数ヵ月の大幅な伸び率低下は、前年にあったM&A資金など大口貸出による押し上げ効果一巡のほか、金融庁から問題視されたアパートローン・カードローンの鈍化、前年比で円高になった(平均ドル円レートは、11月には前年比4.4%の円安であったが、12月は2.6%の円高に)ことに伴う外貨建て貸出の円換算額減少などが影響しているとみられる(図表3・4)。
ここ数ヵ月の大幅な伸び率低下は、前年にあったM&A資金など大口貸出による押し上げ効果一巡のほか、金融庁から問題視されたアパートローン・カードローンの鈍化、前年比で円高になった(平均ドル円レートは、11月には前年比4.4%の円安であったが、12月は2.6%の円高に)ことに伴う外貨建て貸出の円換算額減少などが影響しているとみられる(図表3・4)。
次に、為替変動等の影響を調整した実勢である「特殊要因調整後」の銀行貸出伸び率(図表1)1を見ると、直近判明分である11月の伸び率は前年比2.73%と10月の2.61%から上昇している。見た目(特殊要因調整前)の銀行貸出の伸び率は10月(2.77%)から11月(2.72%)にかけて低下していたが、理由は前年比での円安幅が縮小したためであった。
12月の「特殊要因調整後」伸び率は未判明だが、12月におけるドル円レート(前年比)は既述の通り円高に転じており(図表5)、11月から12月にかけて、為替によるかなりの押し下げ効果が発生したとみられる。従って、12月の見た目の伸び率は前月から約0.3%低下したが、特殊要因調整後の伸び率はほぼ横ばいの前年比2.7%強になったと推測される。
「特殊要因調整後」の貸出で見ると、見た目(特殊要因調整前)ほど鈍化しているわけではないが、それでも3%台を継続していた昨年半ばほどの勢いはなくなっている。
12月の「特殊要因調整後」伸び率は未判明だが、12月におけるドル円レート(前年比)は既述の通り円高に転じており(図表5)、11月から12月にかけて、為替によるかなりの押し下げ効果が発生したとみられる。従って、12月の見た目の伸び率は前月から約0.3%低下したが、特殊要因調整後の伸び率はほぼ横ばいの前年比2.7%強になったと推測される。
「特殊要因調整後」の貸出で見ると、見た目(特殊要因調整前)ほど鈍化しているわけではないが、それでも3%台を継続していた昨年半ばほどの勢いはなくなっている。

1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは11月分まで。
2.マネタリーベース: 増加ペースの減速止まらず

今後も、引き続き日銀の国債買入れによって市中に残存する国債残高が減少に向かうため、日銀の国債買入れペースはさらに縮小に向かうとみられ、マネタリーベースの増加ペースも減速していくと考えられる。
(2018年01月15日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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