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- 日米株高でも欧州株が冴えないワケ-資本市場の構造問題、英国離脱の影-
2021年02月22日
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■要旨
- 欧州株の動きが冴えない。コロナ禍による経済的打撃、財政・金融政策の規模、ワクチン普及のスピードの違いばかりでなく、そもそも資本市場が未発達で、国ごとに細分化されている構造要因の影響も少なくないと思われる。
- EUの資本市場の強化と市場を分断する障壁を除去する「資本市場同盟」が始動して6年が経過したが、家計の金融資産に占める市場性資産の割合、企業の資本市場調達の割合は共に殆ど変化は見られない。コスト高も一因となっている。
- 資本市場同盟の重要性はコロナ禍と英国のEU離脱によって高まっており、現状打開の転機となる可能性を示す動きもある。
- コロナ対応の「資本市場回復パッケージ」は法制化のプロセスにあり、復興基金「次世代EU」の7500億ユーロのEU債発行は安全資産不足の問題の改善に貢献する。
- 英国は、金融面では実質的に「合意なき離脱」に近い状態にあり、EU27カ国の株式取引など規制対応で必要な業務のロンドンからEU圏内への移管は今後も拡大しそうだ。
- 他方、ロンドンからの金融機能の移転先は分散し、都市毎に専門化が強まる傾向があり、資本市場が細分化した状態が続けば、効率性が低下するだけで終わるおそれもある。
- 復興基金は一回限りの枠組みであり、資本市場調達のルール単一化、監督機関の単一化と権限強化など抜本的改革への抵抗は根強い。真の資本市場同盟への道のりは未だ遠い。
(2021年02月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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