- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- コロナ禍における生活の変化(2)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活不安の変化と地域間較差
2020年12月18日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
5――家族関係不安(子どもや高齢家族)
コロナ禍で子どもに関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「休校などによる学習の遅れ」は北関東、北陸、中国、四国で、「休校などにより身体的な成長が十分でないこと」は愛知県、中国、四国で高く、「休校などにより精神的な成長が十分でないこと」は中国で高い。第2回調査を実施した9月時点では、「休校などによる学習の遅れ」は北陸、愛知県、四国で高く、「休校などにより身体的な成長が十分でないこと」は東海および愛知県、四国で、「休校などにより精神的な成長が十分でないこと」は四国で高い。6月から9月にかけての変化では、「休校などによる学習の遅れ」は東北で、「休校などにより身体的な成長が十分でないこと」は四国で、「休校などにより精神的な成長が十分でないこと」は甲信越、大阪府、四国、北九州、南九州で、それぞれ上昇している。なお、収束後では、南九州、「休校などによる学習の遅れ」が北陸で、「休校などにより身体的な成長が十分でないこと」、「休校などにより精神的な成長が十分でないこと」が四国で高いことを除いて地域差はみられず、9月との対比では「休校などにより身体的な成長が十分でないこと」が北陸、南九州で上昇している以外は横ばいないし低下している。
高齢の家族に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「生活維持が難しくなる」は中国、北九州で、「運動不足による老化や身体機能低下」、「コミュニケーション機会減少による老化や認知機能低下」は中国で、それぞれ高く、第2回調査を実施した9月時点では、「生活維持が難しくなる」は北陸、中国、北九州で、「コミュニケーション機会減少による老化や認知機能低下」は東北、愛知県、中国で、それぞれ高くなっている。6月から9月にかけての変化では、いずれの項目についても多くの地域で上昇している。なお、収束後では、「生活維持が難しくなる」は甲信越、北陸、東海および愛知県、北九州で、「運動不足による老化や身体機能低下」は北陸で、「コミュニケーション機会減少による老化や認知機能低下」は愛知県、中国でそれぞれ高く、9月との対比では多くの地域で横ばいないし低下している。
高齢の家族に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「生活維持が難しくなる」は中国、北九州で、「運動不足による老化や身体機能低下」、「コミュニケーション機会減少による老化や認知機能低下」は中国で、それぞれ高く、第2回調査を実施した9月時点では、「生活維持が難しくなる」は北陸、中国、北九州で、「コミュニケーション機会減少による老化や認知機能低下」は東北、愛知県、中国で、それぞれ高くなっている。6月から9月にかけての変化では、いずれの項目についても多くの地域で上昇している。なお、収束後では、「生活維持が難しくなる」は甲信越、北陸、東海および愛知県、北九州で、「運動不足による老化や身体機能低下」は北陸で、「コミュニケーション機会減少による老化や認知機能低下」は愛知県、中国でそれぞれ高く、9月との対比では多くの地域で横ばいないし低下している。
6――人間関係不安
コロナ禍での人間関係に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「友人や知人との関係に距離ができる」は愛知県で、「新たな出会いが減る」は北関東、北九州で、「家族と過ごす時間が増え、ストレスが溜まる」、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」は北陸、東海および愛知県で、「非対面のコミュニケーションが増え、トラブルが増える」は東海および愛知県でそれぞれ高くなっている。また、第2回調査を実施した9月時点では、「友人や知人との関係に距離ができる」は東海で、「新たな出会いが減る」は中国、四国で、「監視が厳しくなり、他人に寛容でなくなる」は甲信越、北九州、南九州で、「家族と過ごす時間が増え、ストレスが溜まる」は北関東、東海および愛知県で、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」は北関東、北陸、東海および愛知県で、「非対面のコミュニケーションが増え、トラブルが増える」は東北で、それぞれ高くなっている。6月から9月にかけての変化では、「友人や知人との関係に距離ができる」はすべての地域で、「家族と過ごす時間が増え、ストレスが溜まる」、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」、「非対面のコミュニケーションが増え、トラブルが増える」はほとんどの地域で上昇している。また、「新たな出会いが減る」は南関東、東海、近畿および大阪、中国、四国、南九州で、「監視が厳しくなり、他人に寛容でなくなる」は東北、甲信越、大阪府、四国、北九州、南九州で、それぞれ上昇している。
なお、収束後では、「友人や知人との関係に距離ができる」は北陸、愛知県で、「新たな出会いが減る」は四国で、「監視が厳しくなり、他人に寛容でなくなる」は北陸で、「家族と過ごす時間が増え、ストレスが溜まる」は北関東、東海および愛知県で、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」は北関東、東海および愛知県、中国、南九州で、それぞれ高くなっている。9月との対比では項目によらずほとんどの地域で横ばいないし低下している中、「新たな出会いが減る」は甲信越で、「監視が厳しくなり、他人に寛容でなくなる」、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」、「非対面のコミュニケーションが増え、トラブルが増える」は北陸で、それぞれ上昇している。
なお、収束後では、「友人や知人との関係に距離ができる」は北陸、愛知県で、「新たな出会いが減る」は四国で、「監視が厳しくなり、他人に寛容でなくなる」は北陸で、「家族と過ごす時間が増え、ストレスが溜まる」は北関東、東海および愛知県で、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」は北関東、東海および愛知県、中国、南九州で、それぞれ高くなっている。9月との対比では項目によらずほとんどの地域で横ばいないし低下している中、「新たな出会いが減る」は甲信越で、「監視が厳しくなり、他人に寛容でなくなる」、「家族と過ごす時間が増え、一人の時間が減る」、「非対面のコミュニケーションが増え、トラブルが増える」は北陸で、それぞれ上昇している。
7――行動不安
コロナ禍での行動に関わる不安についてみると、第1回調査を実施した6月時点では「感染リスクから、電車やバスを利用しにくくなる」は南関東および東京、近畿で、「感染リスクから、タクシーを利用しにくくなる」は四国で、「感染リスクから、飛行機を利用しにくくなる」は北海道で、「感染リスクから、外食がしにくくなる」は東京都で、それぞれ高くなっている。また、第2回調査を実施した9月時点では、「感染リスクから、店舗での買い物がしにくくなる」は東北、甲信越で、「感染リスクから、電車やバスを利用しにくくなる」は南関東および東京都で、「感染リスクから、タクシーを利用しにくくなる」は東北で、「感染リスクから、飛行機を利用しにくくなる」は北海道、南九州で、「感染リスクから、外食がしにくくなる」は北陸で、それぞれ高くなっている。6月から9月にかけての変化では、「感染リスクから、店舗での買い物がしにくくなる」は多くの地域で上昇ないし横ばいの状態にあるなか、大阪府、中国では減少している。また、「感染リスクから、電車やバスを利用しにくくなる」は東北、甲信越で、「感染リスクから、タクシーを利用しにくくなる」は東北、北陸、大阪府で、「感染リスクから、飛行機を利用しにくくなる」は北関東、近畿、南九州で、「感染リスクから、外食がしにくくなる」は北陸、四国、南九州で、それぞれ上昇している。
なお、収束後では、「感染リスクから、店舗での買い物がしにくくなる」は北海道、東北で、「感染リスクから、電車やバスを利用しにくくなる」は南関東および東京都で、「感染リスクから、飛行機を利用しにくくなる」は南九州で、「感染リスクから、外食がしにくくなる」は東北で、それぞれ高くなっており、9月との対比では、すべての項目、地域で、減少ないし横ばいの状態となっている。
なお、収束後では、「感染リスクから、店舗での買い物がしにくくなる」は北海道、東北で、「感染リスクから、電車やバスを利用しにくくなる」は南関東および東京都で、「感染リスクから、飛行機を利用しにくくなる」は南九州で、「感染リスクから、外食がしにくくなる」は東北で、それぞれ高くなっており、9月との対比では、すべての項目、地域で、減少ないし横ばいの状態となっている。
8――結果の総括
以上みてきたとおり、感染不安、経済不安、働き方不安、家族関係不安と人間関係不安、行動不安といずれの局面における不安についても、各調査時点である6月末、9月末および収束後の3時点間ではそれぞれ様々に変化している上、地域によってもそれぞれ異なっていた。
時点間の差や地域差はいずれもそれぞれの時点、それぞれの地域における感染拡大の状況のほか、在宅勤務に関わる不安や交通手段に関する不安など、それぞれの地域固有の特性による影響も受けた結果であるように思われる。こうした生活上の様々な局面における不安が、第三波の真っ只中にある今、どのように変化しているかについては、今月実施する第3回の調査の結果を用いて改めて示すこととしたい。
時点間の差や地域差はいずれもそれぞれの時点、それぞれの地域における感染拡大の状況のほか、在宅勤務に関わる不安や交通手段に関する不安など、それぞれの地域固有の特性による影響も受けた結果であるように思われる。こうした生活上の様々な局面における不安が、第三波の真っ只中にある今、どのように変化しているかについては、今月実施する第3回の調査の結果を用いて改めて示すこととしたい。
(2020年12月18日「基礎研レター」)
関連レポート
- コロナ禍における生活の変化(1)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活行動の変化と地域間較差
- 2020年度特別調査 「第1回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要
- 2020年度特別調査 「第2回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要
- 年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~移動手段編~公共交通機関の回避傾向が強い60歳代、パーソナルな移動手段へのシフトも少なく~
- 年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~買い物手段編-全年代でデジタル利用増、高年齢ほどリアル店舗の利用控え、若者の一部は働き方変容でリアル店舗利用増も
- 年代別に見たコロナ禍の行動・意識の特徴~食生活編-若いほど外食再開の一方でオンライン飲み会にも積極的、共働き・子育て世帯で中食需要増
井上 智紀
井上 智紀のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/03/07 | 4つの志向で読み解く消費行動-若者は「所有より利用」志向、女性やシニアは「慎重消費」志向 | 井上 智紀 | 基礎研マンスリー |
2024/01/19 | 4つの志向で読み解く消費行動(1)-若者は「所有より利用」志向、女性やシニアは「慎重消費」志向 | 井上 智紀 | 基礎研レポート |
2023/04/27 | 投資経験の拡がりと今後の意向-経験者は増えるものの課題はリテラシーの向上 | 井上 智紀 | 基礎研レポート |
2023/04/27 | 「第12回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要 | 井上 智紀 | その他レポート |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【コロナ禍における生活の変化(2)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活不安の変化と地域間較差】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
コロナ禍における生活の変化(2)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活不安の変化と地域間較差のレポート Topへ