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ASEANの貿易統計(12月号)~10月の輸出は対米向けが好調も、今後は欧米の感染再拡大を受けて回復ペースは鈍化へ
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、10月は北米向け(同22.9%増)の好調が続いたほか、EU向け(同4.8%増)が2ヵ月連続で増加した(図表2)。一方、東アジア向け(同3.3%減)が再び減少したほか、回復の遅れる東南アジア向け(同14.1%減)が感染対策強化に伴う内需鈍化を受けて低迷した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が前年同月比では3.5%増(前月:同4.0%減)とプラスに転じたほか、電気製品・同部品が同20.7%増(前月:同28.9%増)と9ヵ月連続の二桁増となった(図表4)。またアパレル関連では、織物・衣類が同4.7%減(前月:同1.7%減)、履物が同12.3%減(前月:同5.4%減)と、それぞれ減少した。農林水産物を見ると、コーヒー(同4.9%増)と水産物(同10.3%増)、カシューナッツ(同4.5%増)などが増加したものの、コメ(同7.7%減)と野菜(同18.2%減)が減少するなど、品目毎にバラつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、地場企業が同7.2%減(前月:同40.9%増)が急減した一方、全体の7割を占める外資系企業が同21.5%増(前月:同5.9%増)と大幅に増加した。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同5.5%減(前月:同4.4%減)と7カ月連続の減少となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、自動車・部品(同8.7%減)や石油化学製品(同3.5%減)など依然として減少した品目が多いものの、外出自粛の影響で家電製品(同11.9%増)が増加傾向にあるほか、電子機器(同3.5%増)や機械・装置(同7.0%増)など幾つかの品目が増加した。また鉱業・燃料は同36.9%減(前月:同33.0%減)となり、石油製品(同45.4%減)を中心に8カ月連続で減少した。また農産物・同加工品が同3.5%減(前月:同6.5%増)と再び減少した。果物(同24.3%増)や畜産物(同13.8%増)、ゴム製品(同40.8%増)、天然ゴム(同13.1%増)が大幅に増加する一方、加工食品(同15.8%減)やコメ(同20.1%減)、タピオカ(同10.5%減)が減少するなど、品目毎にバラつきがみられた。なお、非貨幣用金(同36.9%減)は2カ月連続で減少した。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同3.2%増(前月:同27.4%増)となり、主力の電気・電子製品(同4.0%増)を中心に5カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同40.3%減(前月:同29.1%減)と低迷した。天然ガス(同57.3%減)と石油製品(同21.0%減)に加えて、原油(同44.3%増)が減少した。このほか、ゴム手袋(同186.3%増)とパーム油などの動植物性油脂(同48.1%増)の大幅な増加が続いた一方、化学製品が同14.4%減(前月:同1.9%減)と落ち込んだ。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同1.8%減(前月:同0.1%増)が再び減少したほか、石油ガス輸出が同26.9%減(前月:同16.8%減)と低迷した(図表10)。品目別にみると、自動車・同部品(同15.8%減)や鉱産物(同32.2%減)、織物類(同16.4%減)、機械類(同16.5%減)が低迷した一方、電気機械(同13.2%増)、動植物性油脂(同26.1%増)、プラスチック・ゴム製品(同15.3%増)と好調だった。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同0.3%増(前月:同22.5%増)と鈍化した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同12.1%減)とPC部品(同0.2%減)が再び減少した一方、PC(同25.8%増)とディスクメディア(同14.5%増)が好調だった。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同0.9%減(前月:同16.3%減)と6カ月連続で減少した。化学品の内訳を見ると、医薬品(同3.5%減)が2ヵ月ぶりに増加したものの、石油化学製品(同14.6%減)が低迷した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の6割弱を占める電子製品が同0.3%減(前月:同0.8%増)と小幅に減少した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同3.8%増)と消費者向け電子製品(同12.5%増)が増加した一方、主力の半導体デバイス(同1.0%減)が減少したほか、オフィス機器(同28.2%減)が低迷した。その他9品目については増減まちまちだった。製錬銅(同367.8%増)とその他鉱物製品(76.6%増)、金属部品(同14.9%増)、化学品(同11.2%増)、その他製造品(同8.6%増)は増加が続いた一方、生鮮バナナ(同42.5%減)とイグニッションワイヤーセット(同9.5%減)、雑品(同7.0%減)、機械・輸送用機器(同6.3%減)が減少した。
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(2020年12月10日「経済・金融フラッシュ」)
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