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韓国の新型コロナウイルスの勝者は「フライドチキン専門店」?-日本のコンビニ店舗数を上回る韓国のフライドチキン専門店-
生活研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
<韓国では、中高年退職者がフライドチキン専門店を開業するケースが多いが、実態は3年しか続かない厳しい現実>
韓国のフライドチキン専門店業界1位の「KyoChon」チキンの上半期の売上は2,156億ウォンで、昨年の上半期より15.8%増加した。業界2位の「bhc」の売上の増加幅は約30%だ。売上の増加をきっかけに「KyoChon」チキンを展開するKyoChon F&Bは11月12日にKOSPI(大手優良企業を対象とした韓国の有価証券市場)に上場し、上場日に上限価格を達成した。飲食業(外食)のフランチャイズとしては初めての上場である。KyoChon F&Bは、現在、韓国を含めた世界7カ国の1234店の店舗数を2025年までに1,500店まで増やす計画である。
日本のコンビニ店舗数を上回る韓国のフライドチキン専門店
韓国にフライドチキン専門店が多い理由としては、2016年に「高齢者雇用促進法」が施行されるまで、定年が法律で義務化されていなかったことがある。韓国では2013年4月30日に「高齢者雇用促進法」が国会で成立したことにより、2016年から従業員数300人以上の事業所や公的機関、そして2017年から従業員数300人未満のすべての事業所や国、そして地方自治体に60歳定年が義務化された。
退職後、比較的手軽に始められる
フライドチキン専門店の年間開店数は2014年に約9,700件でピークに達して以降は減少傾向に転じたものの、2018年時点でも約6,200店が新しく開店している。2015年以降の減少は2016年に「高齢者雇用促進法」が施行され、60歳定年が義務化されたのが一つの原因と考えられる。
飲食・宿泊業の平均存続期間は3.1年
新型コロナウイルスの影響でフライドチキン専門店の売上が一時的に増加しているものの、製造業を中心とする韓国経済はいまだに回復軌道に乗っていない。韓国銀行等は、来年には韓国経済が回復すると予想しているが、新型コロナウイルスによる問題が解決されない限り、経済回復を期待することは難しい。
当然のことであるが、韓国経済が回復しないとフライドチキン専門店の繁栄も長くは続かない。特にフライドチキン専門店を開業する定年退職者の多くは開業のために退職金を使い切り、さらに多くの債務を抱えている。店がつぶれると再就職も難しく後がない。世界がコロナ禍を早く乗り越え、世界経済が正常化されることを強く願うところである1。
1 本稿は、「日韓を読み解く:韓国の新型コロナウイルスの勝者は自営の小さなフライドチキン専門店?」ニューズウィーク日本版 2020 年 12 月4 日 に掲載されたものを加筆・修正したものである。
https://www.newsweekjapan.jp/kim_m/2020/12/post-29.php

03-3512-1825
(2020年12月10日「研究員の眼」)
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